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2009/01/27
雇用危機打開へ 労働法制の遵守、雇用の維持・確保に向けた企業の取組みを経団連に要請




 党緊急雇用対策本部の菅直人本部長(代表代行)は27日午前、社民、国民新の両党とともには東京・大手町の経団連会館において日本経済団体連合会(経団連)副会長で経営労働政策委員会委員長(全日本空輸会長)の大橋洋治氏、経団連雇用委員会委員長(王子製紙会長)の鈴木正一郎氏らと面談。世界的な不況により急激に悪化する今回の雇用危機を乗り切るため、企業に労働法制の遵守、社会保険の適正な適用及び雇用の維持・確保に向けた社会的責任を果たすよう、経団連の御手洗富士夫会長宛ての「要請書」(以下ダウンロード参照)を手渡した。

 菅代表代行は、要請書に掲げた6項目について、世界的な不況により悪化し、年度末にあたる3月末に向けて一層深刻な事態になることが予想される雇用情勢に対する緊急的な対策であると説明。派遣労働者に対してやむを得ず派遣契約の中途解除、雇い止めを行う場合の住宅支援や生活支援を実施するとともに、安易な採用内定取り消しを行わないよう求めるなど、雇用のセーフティネットの強化が必要だと指摘した。

 要請書では、失業者・求職者の職業訓練や就労支援など、雇用のセーフティネットの拡充に資する事業を行うために経済界として「非正規労働者生活・就労支援基金」(仮称)を創設し、企業が資金を拠出することなどを求めた。

 社民党の重野幹事長は、厳しい現状認識を示したうえで、国、経済界が一体となり脱却するため一致した取り組みが必要だと強調。雇用保険、雇用調整助成金を例に、現行制度、法律が経営者側において完全に消化されているかを見直すべきとした。

 国民新党の亀井幹事長は、そもそもの原因は経済・財政政策の失敗であると内需拡大政策をとってこなかった政治の責任だと分析。そのうえで、行政、経済界それぞれができるだけの改善策を行い、力を合わせないと解決できないと述べ、共に努力をと呼びかけた

 大橋氏は、世界同時不況のなか、100年に一度といわれる厳しい状況のなか、経営者として正規、非正規労働者それぞれに対し、できる限り雇用を守るために努めていきたいと表明。雇用の調整 職業訓練の充実などにも前向きな姿勢を示し、官民上げての努力が必要であり、時代を担う若者を中心に国民の力が発揮できる仕組みをつくるべきだと語った。

 鈴木氏は、雇用の安定・確保の重要性は共通認識であるとして、要請項目を検討し、問題に邁進していきたいと明言。連合との共同宣言にも言及し、労使間で力をあわせて雇用の確保・創出、セーフティネットの強化、教育訓練の強化に取り組む方針を示した。

 面談後に菅代表代行は記者団に対し、「ざっくばらんな意見交換ができてよかった」と述べ、面談では株主配当や役員報酬が上がる一方で労働分配率が低下傾向にあるとしてバランスが間違った方向にいったのではないかとの指摘も行ったと説明。「全体としては大いに真剣に向けとめられ、前向きな姿勢だった」との所感を示し、新卒者の内定取り消し、派遣労働者の契約解除に関しては各企業に対して法令遵守を徹底するよう指示するとの回答が得られたことを明らかにした。

 面談には、高山智司衆院議員、社民党の保阪衆院議員、国民新党の自見参院議員らが同席した。
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