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2009/02/04
【衆院予算委】年金問題への取組みの甘さを改めて追及 長妻議員




 長妻昭議員は4日午前、衆院予算委員会で質問に立ち、消えた年金、わたり・天下りの問題を中心に政府の見解を質した。

 冒頭、長妻議員は消えた年金問題を取り上げ、社会保険庁のミスが原因で無年金扱いにされているケースが多数あると指摘。保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年に満たないとして無年金者扱いされている推計118万人(平成19年12月)に関して、3000人のサンプル調査をすべきだと強く求めた。

 これに対し舛添厚生労働大臣は、「無尽蔵に予算、人手があればできるが」と述べ、3000人のサンプル調査実施よりも、「一人ひとり救済することが第一」などと答弁。長妻議員は、「人・モノ・カネがないからできないという言い訳は容認できない」と厳しく批判。守秘義務を課したうえで新たな人材を雇用することで雇用創出にもなると提案し、2兆円の給付金があるなら年金問題解決に使うべきだとした。

 次に天下り・わたりの問題について長妻議員は、政府の公式見解としては、「今年になってから天下り、あっせんはない」としているが、実際には通産省OBが先月21日、東京工業品取引所の顧問に就任したと紹介。これまで同所には通産省OBが歴代理事長・社長に就任しており、一回天下ったOBが後輩を引っ張り、次から次へと数珠つなぎのように官僚OBが天下る指定席化、ルーティン化を問題視した。中央省庁が関知していないため、ないことになっているこうした天下りの実態を調査、取り締まるよう要求した。麻生首相は、天下りの定義を長妻議員に求められ、「役所の官房がかんでない話は天下りとは言えない」と答弁。役所のあっせんと認められない渡りや天下りは廃止の対象としない考えを強調した。

 長妻議員は、政府が実態を把握している表ルートに加え、昨年末に設立した、天下り斡旋センターともいえる官民人材交流センターによる新しい表ル―ト、官僚OBが後輩を引っ張る裏ルートと、天下りには3つのルートがあると分析。政府は省庁による天下りのあっせんは今年限りでなくす政令つくる方針を明示しているが、表ルートのみがなくなるに過ぎないとして、裏ルートに関しても実態調査をするよう求め、見解を質したが、「退職した人については、元役人であったからといってお互いの人脈についてもとの役所が介入することできない」と否定的な考えを述べた。

 今年4月からこれまで省庁ごとだった国家公務員・人事評価を一括して評価するシステムになったと評価。しかしながら、その評価シートの項目が抽象的であるとして、「コスト意識・ムダ排除」、「制度改善」、「情報収集・公開」など追加項目を提案し、官僚が自発的にムダ遣いを正すよう促す体制をつくることが必要だと主張した。

 最後に、震度6強の地震で倒壊の危険性がある建物の事例を取り上げ、国民の皆さんの命の問題であるとして、定額給付金の2兆円でこうした対策を実施するよう要請。「何故国家プロジェクトでできないのか」として、官僚の嫌がる政策を実現できない、官僚をコントロールすることができない政府を批判し、改めて政権交代の必要性を訴え質問を終えた。
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