ニュース
ニュース
2009/02/16
【衆院予算委】政府の景気対策、その前提の妥当性を問う 仙谷由人議員




 仙谷由人議員は16日午前、予算委員会公聴会で質問に立ち、公述人に対して政府が1月中旬に策定した経済財政の中長期方針と10年展望の妥当性を問い質した。

 仙谷議員は、2月14日に日経新聞社が発表した上場企業の経常利益2008年4−12月期決算の最終集計を基にした経済利益に関して、金融を含む全産業合計がマイナス74.7%、また、2009年の3月期決算が約2兆2千億円の予測値であることに「衝撃受けた」として、法人税もこれに連動して下落する可能性に言及。今年度予算案の大問題は、予算を組む前提として政府が1月中旬に策した経済財政の中長期方針と10年展望のなかで想定した姿は現時点で妥当性あるかどうかだと提起、09年3月期末決算の数字を前提する限り、政府の世界経済順調回復シナリオのもとでの予測はその根底が完全に崩れるとの見解を示した。

 水野氏は、政府が想定した2011年までの名目GDPは、欧米の景気が夏くらいからV字型回復を前提にしない限り難しいと指摘。中島氏は政府の見通しに関しては来年度後半の民間需要持ち直しが想定されていると主張、内需型、輸入型企業を中心に黒字を維持する企業も多いとの見解のもと、法人税も極端に減ることはないと述べた。

 そのうえで、仙谷議員は成長率至上主義、名目GDP穴埋めが必要かという経済政策そのものが問われている時期に来ているとの認識を明示。新しい「公共」を生み出すとのコンセプトのもと活動、研究していきた独立行政法、大学評価・学位授与機構評価研究部准教授の田中弥生氏に対し、「何故、下請け化せざるを得なかったか、自立性のあるNPOが育たなかったのか」を質問。自立的な活動を展開しているNPO法人自立生活サポートセンターもやい事務局長の湯浅誠氏に対しても見解を求めた。

 田中氏は、NPOを業務支出削減のため、安く発注できるアウトソーシングの対象とした行政側、自己資金を集められず、安くともまとまった金額の入る行政の仕事を受注したなどのNPO側双方の責任であると分析。行政に対しアウトソーシングの手法の見直し、価格の妥当性を議論してほしいと要請、自立に向けては寄付の重要性を挙げた。湯浅氏は、100%方針を決めたうえでそれに従わせようとする行政側のあり方の見直すべきだと主張。また、寄付文化のない日本においては資金集めが難しいとしながらも、NPOが市民の気持ちを形にすることで信頼を得られれば寄付も広がるとして基金、それに加えて税控除など制度上の支援も必要であるとの認識を示して、検討を求めた。

 仙谷議員は、行政における緊急金融貸付の問題点を指摘したうえで、その効果的方法に関してNPOの観点から意見を求めた。湯浅氏は連帯保証人になるなど、これまでの経験に基づく実績を紹介、きめ細かな対応ができれば、お金もかからずトラブルにもならないと主張した。雇用保険の対象外の人が多いことも問題視し、雇用保険を受けている人たちとの均等の金額をある程度の期間支給して生活を支えるなど、現在穴が開いているところを埋めていくことが必要だと強調。現場の意見を聞きながら国としてその枠組みつくってほしいと述べた。
記事を印刷する