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2009/02/26
【衆院予算委】前原議員、外交力強化のためにも解散・総選挙が不可欠と改めて指摘




 外交に関する集中審議が行われた衆議院予算委員会で26日、副代表の前原誠司議員が質問に立ち、日米首脳会談の中身と成果について自らの見解を示すとともに、日米同盟の在り方と必要性、日本の安全保障政策について、麻生首相はじめ関係大臣と議論した。

 日米首脳会談について前原議員は、「国民の多くがもやもやとしたものを感じていると思う」と指摘。各種世論調査で内閣支持率が10%そこそこであり、しかも自民党内からでさえも公然と退陣を求める声が出ているうえ、衆議院の任期満了まで半年程度の時期にあるとの現状認識を列挙して、そうしたなか「ロシアのメドベージェフ大統領と会って長年の懸案事項である北方領土問題に打開の意欲を示したり、最も大切なパートナーであるアメリカの新大統領と今後のことを話し合う」のは「きわめて釈然としない」と切り捨てた。

 前原議員はまた、「国際政治の生々しいパワーポリティックスの場に、失礼な言い方だがレームダックの総理大臣が首脳外交をすることは違和感を感じる、国益を害する」と断じた。それに対して「一国を代表して、きちんと瑕疵なく撰ばれた総理大臣が国益を代表して他国と交渉するのは当然のこと」と首相は強弁。前原議員は「外交では首脳の信頼感、あるいはしっかりとした基盤をもっているかを見極めるのは当然」との見方を示すとともに「100年に一度の経済危機を打開するには、一日も早く国民の信を問うて、国民の信頼を得た政権で、基盤のしっかりした総理大臣が外交を行うのが王道だと思う」と改めて強く指摘した。

 首相は「解散の時期は首相の専権事項。自分で決めさせていただく」とあくまでも強弁し、また、日米首脳会談で米国債引き受けについて話題となったかと前原議員の問いには「まったくありません」と否定した。

 続いて前原議員は、米国への過度の依存からの自立をそろそろ考える時期がきているとの認識を示し、日本の安全保障の米国への依存度について議論するとともに、どういう安全保障、外交、日米関係、日米中の関係が望まれるかを意見交換したいと表明した。

 日本で想定される有事について前原議員はシナリオベースで3つだとして、主に北朝鮮に対するミサイル防衛、あらゆるテロへの対策、日本領土の島々が占領される島嶼侵攻への対応の3つを列挙した。

 議論のなかでミサイル防衛に関して、仮に北朝鮮からミサイルが打ち込まれた場合、「やり返す能力があるか」との前原議員の問いに浜田防衛大臣は、「有効な敵地攻撃の能力はない」と答弁。「日本ができない分、日米安保条約に基づいて集団的自衛権の行使をアメリカに要請するのか」との重ねての問いには「当然そうなる」と浜田防衛相は応じた。

 尖閣諸島をめぐっては「領土問題ではない。日本の領土であるから」との首相答弁を受けて前原議員は「我が国固有の領土であるから領土問題はない。主権を守り抜くことは当然」という認識で一致。そのうえで麻生首相に対し、米国に集団的自衛権の行使を求める日米安保条約の第5条に尖閣諸島も当てはまるかを質問。「固有の領土である以上、行使の対象」となるとの首相の認識を踏まえて、「ぜひこの点は一度公式に確認してほしい。かなりこの点はアメリカの腰が引けている」と述べ、日本政府として米国に対して改めて正式に確認をとる必要性を強く指摘した。
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