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2009/03/17
【衆院本会議】枝野議員、民主党提出「消費者権利院法案」趣旨説明




 衆議院本会議で17日午後、民主党・無所属クラブの枝野幸男議員が民主党提出の「消費者権利院法案」(下記関連記事参照)について、提出者を代表して趣旨説明を行った。

 枝野議員は冒頭、「近代以降、消費者をとりまく環境、特に、消費者と事業者との関係は、著しく変化した」との認識を示し、製品・商品やサービス等の高度化と複雑化、事業や流通過程の大規模化したと述べ、事業者と消費者との間では、経済力や情報等の点で、非対称性が拡大したとした。明治31年、1898年に施行された現行民法の時代には、まったく想像のできなかった状況が生じているなか、これまで、消費者と事業者との間に生じた非対称性を、適正に補うことのできる制度を作り上げてくる必要があったと振り返った。

 消費者の生命・身体や財産をおびやかす事件が続発しながら、司法や行政が十分に対応できず、被害救済や再発防止が十分に図られない事態が繰り返されているとも枝野議員は言及。これらの事態を受けて、自民党内閣においても消費者庁の設置に動いたことは一定の評価をするとしたうえで、「しかし、百年以上にわたって放置されてきた消費者行政を、相次ぐ事態に十分対応できる形にまで整備するには、単なる行政組織の組み換えでは不十分」だと述べた。

 枝野議員は、「新しい消費者のための統治システムとして、以下申し上げる三つの条件を備える必要がある」と語り、民主党案においては(1)消費の現場に近いところで、多種多様な直接の相談に適切に対応できるシステムを、国の責任として整備する(2)相談窓口から集められた情報等に基づき、各省庁が有している規制権限を適正に行使させることで、消費者の利益を実現させるシステムを構築する(3)相談窓口から集められた情報等を集約・分析することで、必要となる政策を、消費者の視点から企画・立案するシステムを構築する――ことが実現するとの考えを示した。

 そのうえで枝野議員は、法案の具体的内容に関して、第一に、消費者基本法の理念にのっとり、消費者の権利利益の擁護と増進を図るため、内閣所轄の下、すなわち、内閣から一定の独立性を有する機関として、消費者権利院を設置すること、第二に、消費者権利院の所掌事務及び権限として、(1)消費生活に関する相談、苦情の処理のあっせん、消費生活に関する情報提供、消費者に対する啓発及び教育等の幅広い「消費者の窓口」としての事務、(2)消費者問題による被害の発生・拡大の防止や救済のために必要がある場合、行政庁に対して資料の提出要求や調査の要求の実施、(3)行政庁に対し、期間を定めて消費者問題に係る処分を行うことの勧告を行うことと、勧告を行った場合にはその旨や当該勧告に係る事業者の名称等を公表することを可能にする、(4)消費者問題が発生し又は発生するおそれがある場合、その被害の程度が著しく、かつ、緊急の必要があると認めるときは、消費者権利官が裁判所に申し立て、裁判所は、事業者に対する一月以内の行為の禁止又は停止の命令を発することができる――などと定めていると説明した。

 枝野議員はさらに、「現在の世界同時不況は、20世紀における大量生産・大量消費型経済体制の『終わりの始まり』。事業者が個々の消費者と率直に向かい合い、安心・安全・信用・信頼など、大量消費社会では軽視されてきた価値を、もう一度、経済システムの中にしっかりと位置づけなければ、これからの経済は成り立たない」と断じ、民主党はこうした明確な歴史観に基づき、明治維新以来の日本の統治システムそのものを消費者視点で抜本改革すると表明。「単なる既存行政組織の組み換えではなく、司法・行政を含めたシステム全体を、一から見直さない限り、明治維新以来、つまり、日本の近代を通じて積み重ねられた富国強兵・殖産興業型の行政を転換できるはずがない」と述べ、法案への賛同を呼びかけ、趣旨説明を締めくくった。
関連URL
  「消費者権利院法案」及び「消費者団体訴訟法案」を衆議院に提出
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=15446
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