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2009/03/31
【衆院本会議】年金の抜本的改革の実現には政権交代が不可欠と主張 長妻議員




 衆議院本会議で31日午後、『次の内閣』ネクスト年金担当大臣の長妻昭議員が国民年金法等の改正案に対する代表質問に立ち、厚生労働大臣および総務大臣に答弁を求めた。

 長妻議員は、年間2.5兆円の税金を投入して、基礎年金の国庫負担分を3分の1から2分の1に引き上げるとする同法案について、様々なほころびの目立つ制度そのものを見直さずに微修正のまま100年続けるという政府の姿勢を問題視。「今後も、100年安心とする『100年安心プラン』の旗を掲げるつもりか」と質すと、舛添厚労相は「政府としては『100年安心』とは謳ったことがない。概ね100年程度を見通して給付と負担を維持する仕組みになっている」と強弁した。

 「国民年金は生活できる年金なのか」と長妻議員は提起し、本年実施された5年おきの年金財政検証では、基礎年金に労働力の減少や平均寿命の延びを勘案して年金受給額を減らすマクロ経済スライドが2038年まで適用され、本来の給付額より27%も減少するとして、年金生活の厳しい実態に懸念を示した。

 こうした指摘にも舛添厚労相は、人口や経済の動向を見極めながら運営していくとして、楽観姿勢を貫いた。

 さらに、現行制度で100年後も所得代替率がモデル世帯で現役時代の収入の半分を下回らない50.1%となるとの結果について、計算の前提となる積立金の長期運用利回りや賃金上昇率、労働力率、国民年金の納付率の数字がそれぞれ5年前に比べて極端に楽観的であるのは、法改正が必要にならないよう、数字合わせをしたのではないかとの疑問を投げかけ、正直な数字のもとに新しい制度の議論をすべきだと迫った。

 舛添厚労相は、現下の経済危機を脱した後、再び安定的な成長軌道に乗ることを前提に導いた数字であると主張。80%とする納付率に関しても社会保険庁の目標を踏まえたものだと述べ、前提が変われば数字も変わる可能性があることを示唆した。

 長妻議員は、年金の信頼失墜の原因は、年金の記録管理などの運営面の問題だと指摘。社会保険庁が118万人存在すると推計される無年金者のうち、記録漏れで本来は受給できる方が何人いるのか、実態把握のための3000人のサンプル調査を要請。また、納付記録が記された紙台帳8.5億件の、コンピューターデータとの照合作業を、国家プロジェクトとして緊急に対策を進めるべきだと重ねて求めた。

 また、民主党が年金問題の対策を進めるために国会に提出した、「年金遅延加算金法案」、「年金記録回復促進法案」、「年金保険料流用禁止法」の3法案について見解を求めた。

 舛添厚労相は、「慎重に検討すべき様々な課題あるが、国会で十分議論すべき」だと答弁。鳩山総務相は、「効果など踏まえ、議論のなかで適切な検討行われること期待する」としたうえで、「法案の心には、受け止めるべき課題が入っていることは事実」だと前向きな姿勢を示した。

 長妻議員は、政権交代によって年金抜本改革を実現させたスウェーデンを例に、年金を良くするためには政権交代が不可欠だと主張。そのうえで、経済危機も相まって、年金・医療・介護・障害者福祉・生活保護など社会保障の現場から悲鳴が上がっているとして、(1)社会保障の各分野を総ざらいして、国が保障すべき最低限の生活のあり方についての具体的なナショナルミニマムの提示、(2)現在実施している制度や仕組みを定期的に見直し不十分な点を改善するアフターサービスの考え方の導入、(3)新しい制度や仕組みを導入する際の徹底的なシミュレーション――の3つを提案し、政府に検討を求めた。

 長妻議員は最後に、日本政治の最大の問題の一つは官僚主導のもとに「官僚の嫌がる政策はできない」「官僚の嫌がる分野の予算を削れない」ことだと指摘し、この大きな制約条件を変えるには、政権交代を実現するしかないと強調。そのうえで、国民の皆さんに対し、「皆様の一票で世の中、行政を変えよう」、「あるべき未来を一緒につくろう」と呼びかけ、質問を締めくくった。
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