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2009/04/03
【衆院本会議】佐々木議員 農林漁業・農山漁村の再生への論議を求める




 3日午後の衆議院本会議で、佐々木隆博議員は、政府提出「農地法等の一部を改正する法律案」への質問に立ち、石破農林水産大臣の見解を質した。

 佐々木議員は冒頭、「かけがえのない国土」である農地をどのように守り、利活用するのかが問われていると指摘。生産資源として重要な意義を持つのみならず、様々な多面にわたる機能で国民が恩恵を享受する観点が欠けているとして、農地の基本的位置づけを質した。

 石破農水相は、農地が利用され農業生産が持続的に行われることによって多面的機能も維持され、将来にわたって発揮されるという見解を述べた。

 続いて佐々木議員は、農業生産法人制度の要件緩和について、農政当局内部の自発的な考え方というよりも、やむを得ずなされた側面が強いと指摘、「理念も哲学も感じられず、方向性が定まらず、責任ある農政とはいえない」と述べた。

 民主党が、農林水産政策大綱「農山漁村6次産業化ビジョン」を取りまとめ、農林漁業・農山漁村再生改革法案として提出したことにも言及。貸借に関わる規制の見直しによって、法人個人を問わず多様な主体が農業に取り組めるようにすると改正の最大の特徴の方向性は否定しないが、家族経営が主体である農業生産構造の現実をしっかり踏まえたうえで、農地政策を展開すべきだとした。

 佐々木議員は、家族経営の活性化を施策の柱に掲げる必要があること、農地制度の見直しを実効あるものにするためには、土地利用型農業の経営安定が大前提であることを指摘、水田・畑作経営所得安定政策の廃止と農業者戸別所得補償制度の導入を強く求めた。

 石破農水相は、水田・畑作経営所得安定政策について、きめ細かな制度運営に配慮して着実に実施すると答弁。民主党の戸別所得補償制度については、「消費者の需要に応じた経営者の判断による農業生産を阻害し、需要に合わない生産が行われることにより、農畜産物の過剰在庫を抱えるなどの問題がある」と述べた。

 佐々木議員は、所得保障制度の導入、集落や人に着目した農地制度の構築、一筆規制からゾーニング規制へ転換し、国土全体の中で農地を明確に位置づける新たな土地利用制度の構築を訴えた。与党が制度改革を政治主導で進められないのであれば政権交代でその道を開くと表明し、法案には十分な検討が必要だとした。

 佐々木議員は「所得保障制度の導入、農村振興をはじめとする農政全体における位置づけを明らかにしたうえで、国土としてのデザインを含め、パッケージとして改革の姿を示す必要がある」と強調。「農地制度の改革を、農業の生産手段としてのみ捉えるのではなく、農林漁業・農山漁村の再生をするための論議を深めなければならない」と訴えて質問を終えた。
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