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2009/04/14
【衆院本会議】海賊問題の根本的解決に向けて対処の在り方を提起 山口議員




 山口壯議員は14日午後の衆議院本会議で、政府提出の「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案」について質問に立ち、海賊問題にどのように対処すべきか、政府の見解を質した。

 山口議員は、同法案はアフリカ・ソマリア沖での海賊行為への対処について、第一義的には海上保安庁の責務であることを麻生首相に確認したうえで、これまでの国会答弁等を聞く限り、先ず海上自衛隊派遣の結論ありきなのではないかとの印象を強く受けると問題提起。同法案は恒久法として海賊問題を「根絶」しようとすることが大事であり、その観点から海上保安庁第一義の趣旨が徹底されるべきだと主張した。

 山口議員は、ソマリア沖での海賊事案に対して、海上保安庁が巡視船派遣を困難としていることに言及。海上保安庁が保有する世界最大の巡視船「しきしま」に加え、当面は海賊に対処できる海上自衛隊の船を海上保安庁に所管換えして補い、同時に操船について不安が残るのであれば海上保安官に加えて、いくばくかの海上自衛官が海上保安官の身分を併有し、同乗すればいいと提案。国有財産法において関係大臣が合意さえすれば可能であると山口議員は指摘し、麻生首相の見解を求めた。

 首相は、海賊対処に関する自衛隊の行動は現状の海上警備行動と共通であるとして、所管換えならびに海上保安官との身分の併有、巡視船「しきしま」の追加的な保有についてそれぞれ否定的な姿勢を示した。

 山口議員は次に、法案では、海賊への対処は第一義的には海上保安庁の任務とされながら、自衛隊を出す特別な場合にあたると判断する主体が防衛大臣であり、海上保安庁にはなっていないことを問題視。海上保安庁の要請があって初めて自衛隊の派遣につながる仕組みにしなければ法案の趣旨にそぐわないと指摘した。

 また、万が一海上自衛隊を派遣する場合の国会の事前承認の項目が欠落しているとして、明記するよう強く要請。派遣実施計画をつくり、派遣期限や派遣地域を明確にしたうえ、国会に報告すべきだとした。

 首相は、海賊対処は警察行動であり、海上警備行動と同様に国会の事前承認の項目を設けなかったと説明。他方、首相が行動を承認したときには必要性、区域、機関等を定めた対処要綱を国会に報告することとしていると述べ、自衛隊の派遣は的確なシビリアン・コントロールのもと運用することが求められているとして、説明責任は果たすことができていると強弁した。 

 さらに、東南アジアのマラッカ・シンガポール海峡の海賊問題の例を踏まえ、ソマリア沖の海賊問題についても海上警察の国際的連携の枠組みを日本主導で創設することが、海賊問題の解決にとって極めて重要だとの考えを述べた。

 山口議員は最後に、単なる対処療法に留まらず、海上警察による海賊「取り締まり」の構図に持っていくべきだと改めて強調。「政治家は道なきところに道を切り開き、不可能を可能に代えていくのが仕事」であるとして、ソマリア沖に海上保安庁が堂々と行くための環境を整えるとの強い決意を表明して質問を締めくくった。
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