ニュース
ニュース
2009/05/09
国内初の感染患者発生を受け、新型インフルエンザ対策本部第4回会合開く




 党新型インフルエンザ対策本部は9日午後、成田空港で国内初の新型インフルエンザの感染が確認された患者の発生を受けて第4回会議を開き、党本部で内閣官房および厚生労働省からヒアリングを行った。同対策本部本部長の菅直人代表代行はじめ、直嶋正行本部長代行(政策調査会長)、長妻昭事務局長(政策調査会長代理)、末松義規、岡本みつのり両衆議院議員が出席した。

 冒頭、挨拶に立った菅代表代行は、「残念ながら、成田において検疫で3名の方が新型インフルエンザであることが確認された。厚生労働大臣も記者会見されたようだが、わが党としても新しい局面ということで、急遽、民主党としての新型インフルエンザ対策本部を開くことにした」と述べた。そのうえで、「国内へ完全に患者さんが入ってきたということまでには至っていない。そういう意味で国内への波及を防げるかどうかの瀬戸際の状況だと受け止めている」との認識を示し、まずは事実関係をしっかりと把握し、それを踏まえて、野党であるのでできることは多くはないが、いろんな形で対処していくと表明。「国民の皆さんから問われたときに、正しい情報を、いろんな機会を通じて示していきたい」とした。

 会議では内閣官房、厚生労働省からそれぞれ、現状に関する説明があり、その後、質疑が行われた。

 内閣官房からは感染事例に関して説明があり、今後について、すでに作成している「国内で感染が生じた場合の基本的対処方針」を踏まえ、新型インフルエンザの状況を見定めて対策を考えることになるとの見通しが示された。同時に、水際対策は引き続き強化し続けたいとの説明があった。

 厚生労働省からは国立感染症研究所よりの報告資料に基づいて、新型インフルエンザが疑われる患者(40代の男性、男子高校生2名)の具体的な検査結果が示された。国立感染症研究所のPCR検査で、正式に感染が確認されたことも改めて明らかにされた。

 この3名は成田市内の感染症指定医療機関の感染症病棟に隔離され、機内でこの3人の近辺に座っていたりして接触した可能性が高い人49名は、検疫法に基づき、別の宿泊施設において一定期間(到着時から10日間ぐらい)停留し、医師が健康状況を見守っていくとの説明がなされた。

 質疑を通じて、感染した高校生のうち1名の方は機内検査では感染がわからずに、移動してしまったために、機内で確認できていればその方の近辺2メートル以内の座席に座っていた方々には宿泊施設に停留してもらう必要性があったにもかかわらず、該当する約15名は飛行機を降りてしまったため、現在、そのフォローをしていることも報告された。このフォローがきちんとなされるかどうか、「われわれとしてはひとつの関心事だ」と直嶋政調会長は語った。

 質疑ではまた、出席議員から、患者が発生した飛行機の最終目的地はバンコクであった点を踏まえると、患者発生後にバンコクへ向かう際に機内消毒は充分になされたのか、機内清掃者に患者発生の事実が告げられたのか、停留の対象者に該当した乗員が2名だったがその他の乗員を対象外とした判断は正しかったのか等について、厚生労働省に対して詳しく確認する必要があると問題提起した。

 さらに、ワクチン製造までには半年程度かかるという状況を踏まえると、例年作られている季節性のインフルエンザワクチンへの対応だけなく、新型インフルエンザワクチンの制作ラインの確保などワクチン製造へ向けて、WHOの判断を踏まえてから決断するとしている政府に対して、着手に向けての意思決定を早急にすべきとの指摘を行った。
記事を印刷する