ニュース
ニュース
2009/06/06
民主党農水キャラバンが鹿児島県で農林水産業に関する意見交換会を開催




 民主党農水キャラバン(座長:高橋千秋『次の内閣』ネクスト農林水産副大臣)は6日、鹿児島県曽於市と鹿屋市を訪れ、それぞれ「農林水産業に関する意見交換会」を開催した。

 冒頭、高橋座長より「農業が選挙の際の争点になるのは久しぶりのことだ」と述べ、農業が注目されている現状について触れた。そして、民主党として農林水産政策についての取り組みについて触れ、農業者戸別所得補償法案を参議院に提出したことや、農山漁村再生法案等を衆議院に提出した経緯について触れ、党として農林水産政策の議論を積極的に進めていると語った。

 また、高橋座長は、「現在、政府は農業の大規模化を進めているが、日本の農政はこれまで東京で決めたことを全国一律、同じやり方で進めようとしてきた。農業ほど地域に密着している分野はない」と述べ、これまでの政府の大規模化路線を批判し、地域の現状に見合った施策を、地域の声を直接聞きながら農政に反映させていきたいとした。

 平野参議院議員からは、農業者戸別所得補償制度について、「家族労働費を犠牲にして成り立っているのが今の日本の農政だ」と述べ、生産者のやる気を上げていくことが必要だと訴えた。そのためには、生産費と市場価格の差額を一定の割合で補てんする戸別所得補償が必要であるとした。具体的に、EU諸国では3兆円〜4兆円程度の戸別所得補償を行っている事例をあげながら、世界では戸別所得補償制度が農山漁村を支える主流となっていると説明した。

 また、自給率についての考え方にも触れ、「政府は自給率を上げたいと言っているが、そのためのコストがどれだけかかるのかについては触れていない。自給率を上げるためには必ずコストがかかる。民主党はそのコストを農業者戸別所得補償の1兆円としている」と述べた。

 さらに、食の安全についても、BSEの全頭検査を全世界に先駆けて日本が導入していることを例に挙げ、「民主党は、BSEの全頭検査だけでなく、農産物等の原産地表示が必要だといち早く訴えてきた」と述べ、原産地表示だけでなく、トレーサビリティ制度も導入して、消費者が選択する際の基準になるようにしていきたいとした。その際、流通過程において小売店等に過度な負担がかからないように気をつけながら、食の安全に対するルールを確立していきたいとした。

 また、民主党の農山漁村6次産業化について、「日本の人口は減っており、農業就業人口についても確実に減っていくことを前提に制度を考えなければならない。政府の品目横断的経営安定対策で無理矢理に大規模化を進めても解決できない。戸別所得補償制度の導入や、地産地消を徹底することが必要だ」と述べた。さらに、「地産地消が地域活性化の出発点となる。地域で生産したものを地域で加工して付加価値を付けて地域で販売できる体制を構築すれば、必ず地域が再生できると考えている」と訴えた。

 会場からは、「偽装問題や汚染米の問題について」、「減反による農業離れについて」、「農産物の販売に関する指導のあり方について」、「林野行政のあり方について」等の質問が出された。これに対して、「トレーサビリティ制度を徹底することで解決したい。ただし、流通過程において過度な負担がかからないよう気をつけていきたい」、「一定の需給調整は必要だと考えている。米を作らなくなってしまった農地をどうしていくのかを考えていかなければならない。今の生産調整は休耕したら補助金が支払われる仕組みとなっており、コストがかかっても生産者に生産意欲をもって取り組んでもらうような仕組みづくりが必要だ」、「JA等が本来やらなければならなかったことなのかもしれないが、民主党は『農山漁村6次産業化ビジョン』を掲げているが、1次産業である農林水産業を「6次産業化」(1次産業[生産]×2次産業[加工]×3次産業[販売]=6次産業)していきたいと考えている」、「山が荒れているのは、国産の木材が使われなくなってきたからだ。そして、国有林だけでなく民有林も含めて、山は管理しなければ荒れてしまう。まずは国産の木材の需要を増やすことが必要だと考えている」と応えた。

 一行はその後、輝北町の鳥獣被害対策現場を視察し、次の農水キャラバン開催地の熊本県へ向かった。農水キャラバンは今後、和歌山、千葉、三重、京都、宮崎での開催が予定されている。
記事を印刷する