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2009/06/11
足利事件についてヒアリング 法務部門会議




 民主党法務部門は11日午前、国会内で会議を開き、足利事件について菅家利和氏、佐藤博史弁護士よりヒアリングを行った。

 冒頭、挨拶に立った細川律夫『次の内閣』ネクスト法務大臣は、「日本の司法のなかでこのたび足利事件という大変な問題が起きた」とその重要性を指摘。逮捕から勾留、刑務所と17年半という長期にわたり拘束を強いられてきた菅家氏のご苦労を気遣うとともに、会議への出席に関して菅家氏、佐藤弁護士に感謝の意を述べた。そのうえで、両氏からこれまでの経験、裁判所での弁護方法などを聴取することで、「冤罪がなぜ起こったか、二度と起こさせないためには立法府として何をすべきかを勉強し、今後に活かしていきたい」と会議の趣旨を語った。

 会議では(1)逮捕・裁判から再審請求・釈放までを振り返っての感想(2)MCT118法のDNA鑑定の問題点、(3)再鑑定の意義と他の事件への影響について、(4)取調べの様子とその後の自白・否認の変遷、その原因、(5)足利事件から見た冤罪防止への今後の立法的課題――等についてヒアリングを行い、問題点を確認した。

 佐藤弁護士は、現在は再審開始前の段階であり、「刑の執行の停止中の身分であり完全に自由な身でない」と菅家氏の現状を説明。そのうえで、迅速に再審を行おうとする検察の姿勢に対して、真に謝罪の意のあるものでなく国民向けのパフォーマンスであるとの見方を示し、17年間無実の罪で人を苦しめておきながら真相究明のための手続きに関してはできるだけ迅速に行うとするのは何なのかと問題提起。「戦いはまだ続く」と宣言し、「自分と同じ苦しみをもつ人のために働きたい」とする菅家氏とともに足利の悲劇を二度と生まないよう「自白が虚偽であることをなぜ見抜けなかったか」、「裁判がなぜ誤りだったのか」など真実解明に向け取り組む決意を語った。

 また、今回の足利事件により「パンドラの箱」が開かれたとの認識を述べ、他の事件に関してもDNAの再鑑定を行う必要性を強調。裁判員制度実施にあたり、これまでの膿を出し切ってからスタートしなければいけない、問題を封印したままでは数年後に悪しき例となることも出てくるとの懸念を示した。

 菅家氏は、連行され取り調べを受けるなかで、「やってないと言っても信じてもらえず『もういいや、どうだっていいや』と思ってしまった。今ならやっていないとはっきり言えるが、当時は気が小さくて人様の前では何も言えなかった」と虚偽の自白に至ってしまったことを悔いるとともに、事実を話しても信じてもらえない苦しさを吐露。検察に対して「いま謝罪してほしい、17年6カ月は長かった。人の命を何だと思っているんだ。絶対許さない」と怒りをあらわにした。

 ヒアリング後の質疑応答では、時効制度廃止を求める菅家氏の発言の意図、再審公判では何を誰に対して主張したいのか、DNA鑑定の問題点、マスコミ報道のあり方等について議員の間から質問が上がった。

 細川ネクスト法務相は最後に、菅家さんのお気持ちを今後の立法活動のなかで実現していきたいと表明。冤罪は絶対にあってはならないものだとして、司法関係のみならず立法の場から冤罪が起こらない仕組みつくることが使命だと述べた。

 会議後、「取り調べの可視化は必要か」との記者団の質問に対し菅家氏は、取調べにおいて、強制的に調べられ、暴力行為があったことを指摘し、冤罪をなくすために取り調べ状況を撮影するべきだと主張。また、無実の人が命を落とすことがないよう死刑制度の廃止や真犯人逮捕に向けての時効制度の廃止を希望するとした。
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