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2000/03/22
年金関連法案、参院で可決、衆院へ。
■「年金不信に油を注ぎ将来不安あおるだけ」
  勝木健司議員=参院本会議で法案撤回求める。

 給付を抑制し、将来への不安を増大させるだけの「年金関連法案」が22日の参院本会議で自自公などの賛成によって可決され、衆院に送られた。民主党は反対した。また、前日の委員会採決強行を受け、民主党・緑風会など野党3党が共同提出していた国民福祉委員会の狩野安委員長の解任決議案は賛成少数で否決された。

 16日の理事懇で与野党が合意していた「首相出席のもとでの質疑確保」を完全に無視する暴挙、衆院に続いての強行採決だった。

◎採決無効を主張=委員長解任決議案討論

 狩野国民福祉委員長に対する解任決議は、年金関連法案の前に討論・採決された。柳田稔議員が趣旨説明をし、松崎俊久議員が賛成討論を行った。

 柳田議員は、「年金法案は決して与党が数の暴挙で強引に採決する案件ではない」と強調。さらに狩野委員長が審議を一方的に打ち切り、約束した小渕首相の委員会出席も反古にしたことについて、「法案審議の取りまとめを中立・公正な立場で行わねばならない委員長としての資格に欠けている」と指摘した。

 松崎議員は賛成討論で、狩野委員長が「国民の生活に直結する年金法案が衆参両院で強行採決されるという、開いた口がふさがらないほどの横暴な国会運営を招いた」と述べ、採決の撤回を強く要求した。

 本会議で反対討論に立った勝木健司議員は、まず、委員会運営について、地方公聴会も開かず、中央公聴会当日に質疑を打ち切って修正案や付帯決議案を協議する機会を奪ったことに強い憤りを表明。

 さらに法案内容について、(1)賃金スライドの凍結と報酬比例部分の5%削減により、現役世代が老後に受け取る年金受給総額が現在より1000万円以上減る(2)政府の約束である基礎年金国庫負担2分の1への引き上げが棚上げされる一方、給付抑制だけが押しつけられる(3)140兆円もの年金積立金が自主運用されるのに伴うリスクが解消されていない−などの問題点を列挙。「これでは国民の年金不信の火に油を注ぎ、将来不安をあおるだけだ」と批判し、法案を撤回し、抜本的制度改正に向けた真剣な議論を開始するよう主張した。

◎抗議で騒然とするなか、委員会強行=3月21日

 21日の国民福祉委員会は午前中の公聴会に続き、3時から質疑が始まった。予定された質問が終了した5時半、狩野委員長が休憩を宣言。その場で開かれた理事会で勝木議員が「ここまで慎重審議をした以上、採決は日を改めるべきだ」と主張したが、委員長は強引に再開し、一方的に採決を強行した。

 このため民主党の角田義一参院幹事長はじめ野党幹事長は、直ちに斎藤議長に「円満な議事運営を与党側が踏みにじった以上、議長の責任でしかるべき措置を取るべきだ」と申し入れた。さらに記者会見で「衆院でも強行採決をして議長あっせんで差し戻しという事態を招いた。同じことを繰り返した与党は許せない。参院でも法案を差し戻したうえ、あくまで総理出席のもとでの審議を求める」と述べた。
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