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2000/10/18
<参議院選挙制度>あっせん不調で、参院議長が辞表提出〜全く耳を貸さない与党の姿勢が原因
参議院比例区への非拘束名簿方式導入などを盛り込んだ公職選挙法改正案をめぐる与野党の激しい対立が続く国会では18日、斎藤十郎参院議長の呼びかけによる各会派代表者懇談会が午前11時から、与野党各党の参議院代表、幹事長、国対委員長らが出席して開かれた。

 この席で与野党双方が議長あっせん案への態度を表明。民主党の久保亘参院議員会長は、あっせん案の前文に示された今国会の不正常な原因についての見解や、「議会制民主主義の基本に関わる選挙制度を片肺で(=与野党一方だけで)審議採決すべきではない」との議長の認識には、「同意できる」と評価した上で、「具体的に示されたあっせん案には問題点が多い」として、受け入れられない旨を表明した。質疑応答があった後、斎藤議長は「今までの話を聞くと、私のあっせんは不調に終わったと判断する。議長としてのあっせんはこれで終了する」と宣言、懇談会は終わった。
 この後、斎藤議長は菅野久光参院副議長に辞表を提出した。

 これを受けて、午後2時から民主党・新緑風会、日本共産党、社会民主党・護憲連合、無所属の会、自由党の野党5会派の代表者がそろって記者会見し、斎藤議長の辞意表明に伴う5会派の声明を発表。議長の努力に敬意を表しながら、「自らの行為が参議院議長がその地位を辞さなければならない無法なものであることを深く自覚すべきである」と、委員会採決の結果は一切変えないとした与党の姿勢を強く非難した。

 また5会派の声明では、議長あっせん案への見解として、次の3点をあげている。(1)国会を異常な状況に陥れた原因は与党の行動にある。議長はまず、与野党協議の時点に話を戻し議長の下での合意の重要性を再確認した上で、与野党の話し合いをさらに深めるようあっせん・指導すべきであった。(2)今回の議長あっせんは新たな法律案の提案であって極めて異例、議長の役割を大きく逸脱したものと言わざるを得ない。与野党の円満かつ正常な審議によって結論が得られるべきとの議長の強い信念にたったあっせんをすべきであった。(3)あっせんの拘束・非拘束混合方式は、いわゆる票の横流しが全く解消されていない。また拘束・非行早々方の制度上の問題点を内包し、疑義の多い選挙制度といわざるを得ない。

 議長が辞任するため、参議院議院運営委員会では19日午前10時から参議院本会議を開き、新議長を選出することを決めた。この本会議へは、「院の構成に関わることであり、この本会議にまで欠席することは院の存在そのものを否定することになる」として、野党側も出席する予定。ただ、与党側が新議長選出直後に、公選法改正案の採決を求める動きを見せていることから、野党側は対応を慎重に検討している。
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