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2009/10/26
【衆・参本会議】友愛政治の原点を宣言 鳩山総理初の所信表明演説




 鳩山由紀夫総理大臣(代表)は26日午後、衆参両院の本会議で総理就任後初の所信表明演説を行い、「政治には弱い立場の人々、少数の人々の視点が尊重されなければならない。そのことだけは、私の友愛政治の原点としてここに宣言させていただく」と表明した。

 鳩山総理は、所信を(1)はじめに(2)いのちを守り、国民生活を第一とした政治(3)「居場所と出番」のある社会、「支え合って生きていく日本」(4)人間のための経済へ(5)「架け橋」としての日本(6)むすび――の6項目に分けて表明。

 (1)では、先の総選挙の勝利者を国民一人ひとりであるとしたうえで、戦後行政の大掃除を、「組織や事業」と「税金の使い路と予算編正のあり方の見直し」の二つの面から断行すると表明。さらに、右肩上がりの成長期に作られた中央集権・護送船団方式の法制度を地域主権型の法制度に変えるとした。また、地球全体の利益を得るとの視点に立ち、「コンクリートから人へ」の理念に沿ったかたちで硬直化した財政構造を転換するとした。

 (2)では、まず何よりも人のいのちを大切にし、国民の生活を守る政治を目指すとして、年金、医療、介護、子育て・教育に関する政策の方針にふれ、「多文化が共生し、誰もが尊厳をもって、生き生きと暮らせる社会を実現する」とした。

 (3)では、地域の絆がいまやずたずたに切り裂かれつつあると指摘し、新しい共同体を目指して「スポーツや芸術文化活動、子育て、介護などのボランティア活動、環境保護運動、地域防災、そしてインターネットなどでのつながりなどを活用して『誰かが誰かを知っている』という信頼の市民ネットワークを編みなおす」とした。さらに、「国民一人ひとりが『自立と共生』の理念を育み発展させてこそ、社会の『絆』を再生し、人と人との信頼関係を取り戻すことができる」として、その先頭に立つと表明した。

 (4)では、「市場にすべてを任せ、強い者だけが生き残ればよいという発想や、国民の暮らしを犠牲にしても経済合理性を追求するという発想がもはや成り立たない」と指摘、国民の暮らしの豊かさに力点を置いた経済・社会への転換を訴え、家計を直接応援することで、国民が安心して暮らせる「人間のための経済」を提唱した。

 (5)では、外交方針の基本を説明、「世界の『架け橋』として国際社会から信頼される国になる」ことを目標に掲げた。特に地球温暖化対策において、「2020年に、温室効果ガスを、1990年比で25%削減するとの目標を掲げ、国際交渉を主導していく」とした。また、「他の地域に開かれた透明性の高い協力体として東アジア共同体構想を推進する」とも強調した。

 (6)で、鳩山総理は、「日本は140年前、明治維新という1大変革を成し遂げた国」として、「鳩山内閣が取り組んでいることは、いわば、『無血の平成維新』である。今日の維新は、官僚依存から国民への大政奉還であり、中央集権から地域・現場主権へ、島国から開かれた海洋国家への国のかたちの変革の試み」と指摘、「これまで量的な成長を追い求めてきた日本が、従来の発想のまま成熟から衰退への路を辿るのか、それとも新たな志と構想力をもって、成熟の先の新たなる飛躍と充実の路を見出していくのか、今、その選択の岐路に立っている」として、「国民とともに本当の意味で歴史を変え、日本を飛躍へ導くために全力を尽くす」と結んだ。

 そのうえで、国民と議員に変革への挑戦に力を貸すよう求め、「新しい日本をつくっていこう」と呼びかけた。
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