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2000/10/20
審議ボイコットから転換、徹底審議で与党を追いつめる
国会は20日、参院比例代表に非拘束名簿方式を導入する公職選挙法改正案が参院を通過したのを受け、与野党攻防の場を衆院に移した。しかし、20日正午から行われた衆院議院運営委員会では、同法案の取り扱いをめぐって、与党側が本会議での趣旨説明と質疑を省略して、倫理選挙特別委員会に直接付託することを押し切り、徹底審議を求める野党側と、法案成立を急ぐ与党側とのせめぎ合いが強まっている。

 民主党は20日午前10時から両院議員総会を開き、審議ボイコットから徹底審議への転換について、幹部が説明し理解を求めた。

 まず、久保亘参議院議員会長が3週間にわたる参議院での闘いを振り返り、「マスコミの論調においても、国民世論の動向を見ても、われわれはけっして敗者ではない。むしろ、われわれは民主主義の敵を明らかにし、その正体を暴露する中で、われわれに課せられた民主主義を守る闘いを果敢に前進させることができた」と成果を強調した。

 菅直人幹事長は、「これからの闘いは、徹底的に衆議院でこの法案を議論し、審議する形に大転換する。満身創痍になっている与党の今の姿を国民の前に明らかにして、攻めて攻めて攻めまくっていくという意味だ。最終的には非拘束名簿方式を廃案に追い込んでいく」との意気込みを示した。

 赤松広隆国会対策委員長は、「当初はこの問題に関心の低かった世論を、この3週間の徹底した闘いの中で盛りあげることができた」として、今後も衆参一体・野党の結束を保った闘いを続けるよう要請した。

 続いて石井一副代表が、「国会の情勢はわれわれが思っているより厳しい。むこうは聞く耳を持たず、重武装し、数で押し切り、時間が来たら処理する態勢だ。マスコミは参議院で通ったからもう成立したと報道している。うかうかしていたら、あっという間に成立してしまう」と気を引き締め、「あとはわれわれの勇気と決意と知恵にかかっている」と檄を飛ばした。

 最後に鳩山由紀夫代表が、「国民は2000年10月19日に何が起きたか知っている。来年の参院選が楽しみだ。自壊現象を繰り返している自公保の息の根を止め、墓標をうち立てる日がまさにその日だ」と述べ、国会論戦で与党を徹底的に追いつめていくよう訴えた。


 野党側が公選法改正案について本会議で趣旨説明と質疑を行うように求めたのに対し、正午から開かれた衆院議院運営委員会で、与党側が特別委員会へ直接付託する動議を提出。

これに対し、民主党の伊藤忠治同委筆頭理事が、「公職選挙法は1票の有権者の立場に立って作られるべきものであり、広く国民の声に耳を傾けるべき。少数意見に耳を貸さず、参院同様の暴挙を繰り返そうとしていることは絶対に看過できない」「本会議での趣旨説明要求法案として扱うことを与野党が合意している。それを無視して直接当該委員会に付託することは、議運委レベルにおける与野党合意のあり方を真っ向から否定するもの」「今国会の会期は12月1日まであり、審議の時間は十分余裕がある。充分な審議を高めることが国民に理解を得るためにも大切ではないか」などの理由を挙げ、動議に反対した。しかし、与党側の賛成多数で、委員会への直接付託が決まった。

 この後、4野党の国会対策委員長は、与党に対し、(1)公選法、少年法、警察法、健康保険法、医療法の各改正案について慎重かつ十分な審議を行うこと。あっせん利得処罰法案と永住外国人地方参政権付与法案を直ちに審議入りすること(2)KSD問題、中川官房長官の疑惑問題などを審議するため速やかに予算委員会を開会すること(3)クエスチョンタイムを定例で開催すること−−の3項目を、12時30分からの与野党国対委員長会談で申し入れた。これに対し、与党側は、法案審議については慎重に取り扱うと回答したが、予算委員会の早期開会については難色を示した。
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