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2009/11/30
【参院本会議】平成20年度決算を質す 広田一議員




 国会内で30日午後、参議院本会議が開かれ、平成20年度決算等について、民主党・新緑風会・国民新・日本を代表して広田一議員が質問を行った。

 広田議員は「『政治を変えるとは税金の使い方を変えることである。そのために、今こそ政権交代が必要』と訴えてきた」と語り、税金の使い方を変える大前提が、税金のムダ遣いを無くすことであり、その意味で不適切な予算の使い方を明らかにする会計検査報告は重要であるとして、鳩山政権は前政権以上に決算重視でなければならないと提議。藤井裕久財務大臣は「決算結果を予算に反映するのは極めて重要」だと答弁した。

 続いて広田議員は会計検査院改革に関連して、「政権交代の意義の一つは、これまでの政権ではできなかった新しい仕組みをつくることである」と語り、民主党政策集では会計検査院改革として、独立性向上、公正中立性確保などのため、会計検査院法の改正を掲げている点にもふれ、先の通常国会で、この趣旨に沿って参議院に提出した議員立法が審議未了のまま衆議院の解散で廃案となったと明かし、その取り扱いを総理に求めた。鳩山由紀夫総理大臣(代表)は「会計検査院の機能向上は必要」との見解を示した。

 次に、20年度決算の特徴に沿って質問。まず、過去最高の指摘金額について、虚偽の会計処理を行うなどの不当事項などの件数は、昨年比264件減の717件だが、逆に指摘金額は昨年度の倍近い2364億円になると指摘。また、平成13年度以来、「歳入欠陥」が生じ、額は7181億円になると分析。「前政権の経済運営、景気見通し、それに伴う税収見積もりや予算編成方針に問題があったと言わざるを得ない」と指摘し、菅直人副総理大臣と藤井財務大臣に見解を質した。菅副総理は「鳩山政権がまずやっているのは歳出の中身を変えること。歳出の中身を抜本的に替えていく」と表明。藤井財務大臣は「歳出全体についてまことに遺憾に思っている」と述べ、会計検査委員の報告をふまえ、厳正な執行のために努力するとした。

 そのうえで広田議員は、「留まるところを知らない円高や株価の下落。高止まりの失業率。ゆるやかなデフレの進行などを踏まえて早急な経済対策の策定とそれを裏付ける第二次補正予算の編成を強力に推し進めてほしい」と強く求めた。

 広田議員はまた、20年度決算の次の特徴は多額の不用額を出し続けていることだとの見方を示し、その額はなんと約14兆円にも上ると指摘。「内訳は離れですき焼きの特別会計で約11兆7000億円、母屋でお粥の一般会計でさえ約1兆8000億円などだ」と断じ、鳩山政権の掲げる「総予算の組み替え」のはじめの一歩は、巨額の不用額にメスを入れることだとして、総理に決意を要請した。

 同時に広田議員は、毎年、不用額を出す原因、過大計上の理由について、「国債利払い費の算定根拠は長期金利が何パーセントになると想定するかで決まる。その数字設定が結果的に高すぎるためだと思う」と分析した。

 広田議員はまた、不適切なのは予算の過大計上だけではないとして、国債の利払い費を減額補正する場合、前政権が「既定経費の節減等」として扱ってきた点を明かし、「節減とは、読んで字のごとく『節約して減らす』ということ。利払い費の減額について、政府は何の努力もしていない。なぜなら国債の利払い費は原則マーケットで決まるからだ」と指摘し、「それを行革努力の成果のごとく扱うのは国民の皆さんに、大変な誤解を招く」と述べ、鳩山政権ではこれを改めるべきだと問題提起した。

 次に、地方自治体の不適正経理が後を絶たない点も問題視し、会計検査院が全国26の府県と2つの政令市で、国の補助事業を調べたところ、「全ての自治体」で不適正な経理が見つかり、総額は29億2744万円になったとして、最も悪質なのものとして「預け金」の実態を解説した。また、「必要悪」として長年引き継がれ、行政の「裏文化」となった背景には(1)国からの予算使い切りの指示や補助金返還を嫌がる体質、(2)予算の単年度主義、(3)地方を縛っているひもつき補助金システム――の三つ原因があると分析した。

 あわせて、不適正経理をなくすには、民間では当たり前の節約や効率化により不用額を出した場合、それに対する肯定的な評価をする仕組みが必要と原口一博総務大臣に提案。岩手県で提言された「節減加算システムの運用」を紹介し、このようなシステムに対する評価と国としての制度の導入への推奨、同時に国自らの予算執行への導入の検討を求めた。鳩山総理は指摘を踏まえる考えを示し、原口大臣も前向きな決意を表明した。

 そのうえで広田議員は、「不適正経理の原因が地方を縛っているひもつき補助金システムだとすれば、その抜本解決策は民主党が主張する『一括交付金』化だ」とも表明。最後に「鳩山政権は、歴史的使命を背負って誕生した。それは、我故郷高知県の偉人・坂本竜馬が言ったように、日本を『今一度洗たく』すること。今後、幾多の困難があろうかと思うが、鳩山政権を支え、決して諦めず、前を向いて21世紀の『坂の上の雲』を目指し、子どもたちの未来のために、この国を引っ張って行くことを誓う」と宣言し、質問を終えた。
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