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2010/02/02
【参院本会議】『出番』と『居場所』のある社会実現に全力尽す 代表質問で輿石参院議員会長
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参議院本会議が2日午前開かれ、民主党・新緑風会・国民新・日本を代表して輿石東参議院議員会長(幹事長職務代行)が平成22年度予算および政府4演説に関して質問した。
輿石会長は冒頭、鳩山由紀夫総理(代表)が1月29日の施政方針演説で、ガンジーの「七つの社会的大罪」(理念なき政治、労働なき富、良心なき快楽、人格なき教育、道徳なき商業、人間性なき科学、犠牲なき宗教)を引用したことをふまえ、「とりわけ『理念なき政治』は私たち政治家が常に胸に刻んでおかなければならない言葉だ」と指摘。そのうえで、「旧来の自公政権とは異なる新しい政治を着実に実行していく年が今始まった」として、「いよいよ民主党の出番。民主党は、新しい日本を築くために一丸となって鳩山内閣を支え、全力を尽すことを国民の皆さんに改めてお誓いする」と宣言した。
輿石会長は続いて、完全失業率5.7%、有効求人倍率0.42倍と過去最低を更新したことを問題視し、「景気が低迷し、生活の先行きが見えにくい今こそ、日本が元気を取り戻し、すべての人が『出番』と『居場所』のある社会を目指さなければならない」と述べ、「子どもを元気に、地方を元気に、地球を元気に、今年はこの『三つの元気』を取り戻す一年にしよう」と鳩山総理に呼びかけ、「景気、雇用、医療介護」の『三つの政策』を実施していく必要性を強く指摘した。
そのうえで輿石会長は「日本を元気にするには、緊急対策と同時に将来ビジョンがなければならない」とし、総理が施政方針演説で掲げた新成長戦略「人間のための経済」に関して、自民党政権下での成長戦略との違い、また、計画を推進する総理の覚悟を質した。
鳩山総理は新成長戦略と自民党のそれとの違いについて「一言でいえば見る視点がちがう」と強調。「今までは人間を歯車のように考えていた。(そうした)経済のための人間という発想ではなく、まさに『人間のための経済』だ」と語り、供給サイドに傾いていた旧来の成長戦略とは違う、需要に視点をあわせた成長戦略を考えていくと説明。同時に、強いリーダーシップもと、縦割り行政を廃止して、政治主導で内閣が一丸となって取り組むとも表明した。
「いのちを守る予算」と総理が明示した平成22年度予算について輿石会長は「バランスのとれた予算。不況対策を考慮して約92兆3000億円を確保しながら、44兆3000億円という国債発行額を一定の水準に抑えた」と評価。同時に公共事業を前年度比マイナス約18%と厳しく抑制する一方で、給食費が払えない子や病院に行けないお年寄りがいる現状を前に、子どもや高齢者、苦しい状況にある地方の人たちへの手厚い措置を盛り込み、医療や雇用についてもよく目配りされている点を「高く評価できる」とした。
あわせて、厳しい雇用情勢が続いている状況について、「非正規労働者、高齢者のみならず、これからの日本を支える若年労働者や新卒者の職探しも困難な状況にある」と輿石会長は指摘し、対策は喫緊の課題だとの認識を示し、昨年10月の「緊急雇用対策」や補正予算に盛り込まれた「緊急経済対策」をふまえた取り組みについて説明を求めた。
鳩山総理は「きびしい景気雇用情勢に対処するために昨年12月に緊急経済対策を取りまとめた。一日も早い効果の実現のために、成立した第2次補正予算をできる限り迅速に実行していく」と表明するととともに、「いのちの予算」と銘打った平成22年度予算の成立および着実な執行と成長戦略の推進によって、国民の皆さんの暮らしを守る日本経済を確かな回復軌道に乗せていくことが重要だと指摘。「そのことによって、持続的かつ安定した経済成長を目指していく」と答弁した。
輿石会長は続いて、22年度予算では公共事業間経費が前年比マイナス18.3%と抑えられる一方で、社会保障関係費はプラス9.8%、文教および科学振興費がプラス5.2%となるなど、まさに「コンクリートから人へ」の変化を示す予算となったと分析。一方で、医師不足など医療崩壊への対応のために10年ぶりに診療報酬を引き上げるなど、人を守る政策の実現のもと、社会保障関係費は一般歳出の51%の占めている実態を踏まえ、急速な高齢化という構造的な要因が大きいとの見方を示し、「年金、医療、介護分野においても制度の再検討が必要」だとして、総理に検討を求めた。
輿石会長はさらに「急激な落ち込みを見せた日本経済を早急に回復させ、安定成長の軌道に乗せて行くことが不可欠だ」との見解を示した上で、菅直人副総理兼財務・経済担当大臣が財政演説と経済演説のなかで「これは従来の公共事業や財政支出頼みの第一の道でも、行き過ぎた市場原理主義に基づく第二の道でもない。新たな需要と雇用を作り出す第三の道の考え方に立っている」と表明した点を取り上げ、その重要性を改めて注目した。
輿石会長は核軍縮に関しても取り上げ、「本年5月には核兵器不拡散条約の再検討会議がある」として、核保有国が「核の唯一の目的は核に対する抑止だ」と宣言すること、包括的核実験禁止条約を発効させ、軍事用の核分裂物資の生産禁止条約の締結等が課題とされるとの見方を明示。そのうえで岡田克也外務大臣に対して、「核兵器のない世界」を目指すオバマ米国大統領と連携し、唯一の被爆国として、核兵器国と非核兵器国との架け橋として、核廃絶に向けて我が国は主導的な役割を果たしてほしいと要請。岡田外務大臣は「日本は意味のある役割を果たさなければならないと思っている」と応じ、前向きに取り組む姿勢を示した。
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