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2000/10/31
少年法改正案が衆院で可決〜党対応:問題点多いが「一歩前進」として賛成に
自民・公明・保守の与党三党が提案していた少年法改正案が31日午後、衆院法務委員会で採決され、民主党などの賛成多数で可決した。法案はただちにこの後の衆院本会議に緊急上程されて可決され、参議院に送られた。

 与党案は、16才以上の一定の重罪事件について裁判官の裁量の範囲に制限を加えたり、裁判官の予断排除原則や適正証拠の原則に配慮しないまま、現行の審判制度において検察官の関与を認めるなど、運用によっては少年法の「保護主義」の理念を台無しにする重大な内容を含むものがある。

 そのため、民主党は、(1)16才未満の少年に刑事処分を課す場合については、重罪で少年の更生の可能性が著しく乏しい場合に限り、かつ付添人を付することを条件とする(2)16才以上の少年の重大事件における原則検察官逆送致については、その範囲を限定するとともに、裁判官の裁量を確保すること(3)少年が、非行事実を争うなどその認定に必要なときは、別の裁判官による、適正証拠の原則を採用した方式による手続を新たに設けて行うこと----などを内容とした修正案を提出し、与党側と協議を続けてきたが、不調に終わった。

 しかし、民主党ネクストキャビネットでは、世論の大勢が少年犯罪への厳しい対処を求めていることや、与党案には問題点が多いものの、一方で、被害者に対する配慮の制度や非行事実がないことが後に判明した少年に対する救済措置の新設など、早急に積極的に採用すべき点が盛り込まれていることを考慮し、「一歩前進」として最終的に与党案に賛成する方針を決めた。

 一方、法案について検討を続け修正案づくりを担った党法務部会では、「家裁の少年審判に検察官の立ち会いを認めると、少年審判の場が少年を矯正する場から少年を糾弾する場へと変質する」などの懸念から、与党案への反対論が強く、本会議の起立採決では着席・退席・欠席して反対の立場を示す民主党議員が10数人出た。

 このことについて、岡田克也政調会長は同日夕の記者会見で、「NCでの議論と法務部会での議論に温度差があった。お互いの意見のくい違いがないように、注意して運んでいかなければいけなかった」と意見の集約に不手際があったことを率直に認めた。
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