ニュース
ニュース
2010/03/13
赤松農水大臣、高知県・いの町で生き残りの林業を模索する「森の工場」を視察




 赤松広隆農林水産大臣は13日午前、高知県吾川郡いの町内の「上八川地区 森の工場」を視察。チェーンソーによる伐倒、スイングヤーダによる搬出といった現場を見学し、その作業過程などについて担当者からの説明に熱心に耳を傾けた。

 「森の工場」とは、「木材価格の低迷」「小規模で分散した森林が多い」「林業の担い手の高齢化」など、厳しい環境下にある森林の適切な管理が進まない状況を踏まえ、意欲ある林業事業体がひとまとまりの森林を対象に森林所有者と信頼関係を結び(施業の受委託)、効率的かつ計画的に林業経営を行うことに対して工場として認定し、県が重点的な支援を行うもの。高知県では平成16年度から実施し、「上八川地区 森の工場」は平成17年に認定され、その面積は約610ヘクタール(うち人工林509ヘクタール)、森林所有者は136名。

 赤松大臣は視察後、町内の公民館に移動、高知県森林組合連合会、高知中央森林組合のメンバー、いの町の塩田町長、協同組合高知木材センターの山村副理事長と懇談、武内則男、広田一両参議院議員、長尾和明市議会議員も同席した。

 冒頭、武内議員は、「県の85%を占める林業に光を当て、元気にしながら新たな雇用を生み出したい。林業をやっていて良かった、将来もやっていこうという勇気を持ってもらえるような林業政策を進めていきたい」と挨拶。民主党として林業再生に向け精力的に取り組む決意を述べた。

 次に、県森林組合連合会代表理事の戸田会長が、「私の記憶の限り、大臣が現場に入るのは初めて。森林組合に入るのも初めてで感謝している。政権交代を改めて実感した」と挨拶。先月22日に舟山康江農林水産大臣政務官が、27日には鳩山由紀夫総理大臣(代表)が高知県入りしたことにも重ねて謝意を示した。

 そのうえで、森林組合は「地域森林管理の担い手として努力しなければならない」と表明。その役割を担っていくため、今後最優先課題として、中期経営計画の樹立、施業プランナーの養成、未整備森林解消の取り組みを挙げ、赤松大臣に対し林業への支援協力を求めた。

 懇談では、高知中央森林組合代表理事の西内組合長がまず、視察に訪れた、上八川地区森の工場の実施位置、概要、計画内容などについて説明。その後、森林組合のメンバーからは急峻な地形であることを鑑み、作業道との組み合わせによる高知の架線集材システムの重要性が指摘され、その補助を求める声が相次いだ。また、材価が低いこともあり切捨て間伐に対しての補助、間伐のさらなる受け皿の必要性を強調、塩田いの町長も切り捨て間伐が台風の際に土砂崩れを防止するなどその効用を述べた。

 戸田会長は、暫定期間切捨て間伐の継続処置を求めるとともに、高知の架線集材技術はかつて長野や岐阜、中国地方に出稼ぎに行っていたほどのものだと紹介、その伝承は必要だと主張した。

 赤松大臣は、森林の多面的機能を重視しているとして、特に環境対策面においては、森林は30年以上経過するとCO2の吸収率が下がることにも言及、新たな植林により雇用対策にも繋げてく考えを示した。また、農水省では「森林・林業再生プラン」をまとめ、(1)路網・作業整備システム、(2)森林組合改革・民間事業体サポート、(3)日本型フォレスター制度の創設・技術者等育成体制の整備――を3本柱として、林業経営・技術の高度化に取り組んでいると説明。林業の実態を踏まえ、路網整備の促進と同時に架線集材も積極的に支援、「産業として成り立つよう、努力する」と表明した。

 最後に広田議員が「高知がモデル事業になるよう政策提案していきたい」と挨拶した。
記事を印刷する