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2010/04/16
【衆院本会議】労働者派遣法改正案 長妻大臣が趣旨説明 岡本英子議員質問




 16日午後の本会議で「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案」を議題について長妻昭厚生労働大臣が趣旨説明を行い、岡本英子議員が質問に立った。

 はじめに長妻大臣が、労働者派遣制度は労働力の需給制調和を図るために創設されたが、雇用の規制緩和という大義名分のもとに行過ぎた規制緩和が行われた結果、「日雇い派遣」など社会的に問題のある形態が発生、また一昨年来の雇用情勢の悪化による「派遣切り」の多発では、雇用の不安定さとともに製造業においては技能の継承の問題も指摘されているとして、本法案はこれらの問題に的確に対応するため、常時雇用する労働者でない方の労働者派遣及び製造業派遣を原則禁止する等、労働者派遣事業に係わる整備等の措置を構築するものだと説明。主な内容として、(1)派遣労働者の雇用の安定と保護を図るため、登録型は派遣通訳など専門26業務を除き原則禁止、長期の雇用契約を結ぶ「常用型」を除いて製造業派遣を禁止、(2)派遣労働者の賃金等の待遇の確保を図るため、派遣元事業主は派遣労働者の賃金等について同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡に配慮しなければならないこととする、(3)禁止業務に従事させた場合、無許可事業主から受入れた場合、偽装請負の場合等の行為を行った時点において、派遣先が派遣労働者に対して申込みをしたものとみなす――などと説明した。なお、施行は公布から6カ月以内だが、製造業派遣は最長3年、登録型派遣は同5年の猶予期間を設けている。

 岡本議員は、「働く命を守りたい」という鳩山由紀夫総理(代表)の施政方針演説に言及、民主党は、前政権下での行き過ぎた規制緩和の適正化、雇用や生活の安定を図ることが最も重要だと考えるとして、本法案はこれまでの規制緩和路線を180度転換、「政権が交代したからこそ」だと主張。「今回の改正の意義をどう考えるのか」と鳩山総理の見解を質した。

 鳩山総理は、「派遣切り」の多発を一例に、「働く方の命が軽んじられる結果になっている」と派遣労働者の現状を問題視。本法案は、これまでの反省を踏まえ過度な規制緩和を修正することを第一の目的とする一方、多様な働き方の選択肢を大事にし、派遣労働の保護の強化を図るものであると述べ「労働者派遣法の抜本改正と言えるものだと信じている」と表明した。

 岡本議員は、一昨年のリーマンショックに端を発した「派遣切り」について、派遣労働者全体の約97%の約14万人が製造業務に従事していたとして、製造業は日本の基幹産業であり、日本経済への影響、技能を継承していく観点からも雇用の安定を図ることが重要だと指摘。不安定な働き方を質すべきだとも説き、「製造業派遣」「登録型は研」の原則禁止をそれぞれ評価した。さらに、「賃金は労使が合意して決めるもので一概には決められない」と前置きしたうえで、同種の仕事において不当に賃金格差があれば格差を是正すべきだと主張。改正により派遣労働者の待遇改善をどのように図っていく考えか、長妻大臣に訊ねた。

 長妻大臣は、本法案では第一に、派遣労働者の賃金等の決定にあたり派遣先の労働者との均衡を考慮する配慮義務を派遣元事業主に課していると説明。これにより派遣労働者の賃金、福利厚生、教育訓練の改善を進めていくとした。第二に、派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の派遣料金に占める割合(マージン率)の情報公開、派遣料金を本人に明示する義務を課すことで、派遣労働者がよりよい待遇の事業所を選択できることを可能にしたと述べた。

 岡本議員はまた「偽装請負」問題など違法派遣を取り上げ、迅速に厳しく対応することが急務だと指摘。

 これに対し長妻大臣は、「労働契約の申し込みみなし制度」の創設をはじめ、法違反を繰り返す悪質な派遣先に対しては、従来の指導・助言から今後は即座により強力な勧告・公表を行えるようにする、許可を取り消された派遣元事業所の役員については派遣事業の許可を与えないことなどの措置を講ずるとした。

 規制を強化することにより派遣制度を活用してきた企業、派遣労働を選択してきた労働者それぞれから懸念の声があるとして、「仕事を求める方々へのニーズと迅速に人員を確保したい企業のニーズをどう結び付けていくのか」との岡本議員の質問には、長妻大臣は、改正されても、常時雇用する労働者を派遣する事業や短期雇用の労働者を職業紹介する職業は禁止されず、これによりニーズを結びつけていくことが可能だと答弁。「今回の改正により、労働者が職を失うことや人材が確保できないため、企業の運営に支障をきたすことがないように対処する」と述べた。

 岡本議員は最後に、「今回の改正案は、派遣という働き方をより安定した雇用形態としていくための大切な第一歩だと考える」と改めてその意義を強調。「民主党政権への国民の期待に応えるため、本法案を含め労働者の保護、雇用の安定に全力で取り組んでもらいたい」と鳩山総理はじめ関係閣僚に求めて質問を終えた。
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