ニュース
ニュース
2002/05/15
【参院本会議】木俣議員、領事館事件をめぐって外相を追及


 15日、参議院本会議において民主党・新緑風会の木俣佳丈議員が質問に立ち、中国・瀋陽総領事館事件について質した。

 木俣議員は冒頭、第二次世界大戦中、ナチスの迫害から逃れてきた6千人にも及ぶユダヤ人の命を独自の判断でビザを発給して救出した外交官・杉原千畝の功績について語り、「それに引き替え、瀋陽総領事館をめぐる日本政府の対応は無責任極まりない。緊張感がまったく欠如し、国益を損なっていることこの上ない」と批判。「外交のイロハさえもわきまえない行為であり、人権外交重視を唱えながら、実際には人権尊重のかけらも見当たらないことが、白日のもとにさらされた」とし、日本外交への世界の信頼は完全に地に落ちたと分析した。

 次に木俣議員は、事件の4時間前、北京の日本大使館における会議で阿南大使が「ともかく来たら追い返せ。仮に人道問題になっても面倒に巻き込まれるよりはまし」といった趣旨の発言をしていたことを問題視した。その上で木俣議員は、外務省調査に隠匿はないか、北朝鮮人5名に対して「連行やむなし」との指示を出したかどうかなど、川口外相に説明を求めた。

 外相は、出張中の総領事および北京の公使が現場の副領事に「連行やむなし」の判断を伝えていたことについて「現場の状況が緊迫の度合いを増すなかで、武装警察に抵抗して物理的に押し留めることができないとの判断をしたため」などとし、「連行の同意を得たとする中国側の主張には反論する」との姿勢を示した。

 さらにマスコミがNGOから事前に情報を入手し、用意周到に撮影したにもかかわらず、外務省がその情報を入手できなかったことを問題視し、「情報収集体制の欠陥があらわになった」と指摘。また、中国に対しては原状回復と謝罪を求めるべきで、中国側が応じない場合は、何らかの対抗措置を講じてもおかしくないと指摘した。さらに木俣議員は「北朝鮮住民と見られる5人の取扱いが最も重要」とし、生命・自由が脅かされる恐れがないよう、監視を怠らず、中国側に強力に働きかけるよう政府に求めた。

 質問の中で木俣議員は、昨日、鈴木宗男議員の辞職勧告決議案の上程が再度見送られたことにもふれ、「ご自身の明確な説明なくして国会の威信回復はないと思う」として小泉首相に答弁を求めた。小泉首相は「疑惑を持たれたときは、進んで国民の前に明らかにするべきと思われる」と他人事の答弁に終始した。
記事を印刷する