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2010/04/21
鳩山総理、障害者自立支援法訴訟団の皆さんと面談


 自公政権時に成立した、福祉サービス利用料の一部を利用者に負担させる障害者自立支援法は違憲だとして、障がい当事者の皆さんが国を相手に起こしていた裁判が、鳩山政権が同法の廃止を明言したことに基づき、東京地裁で21日、和解が成立した。東京地裁での和解成立により、一連の裁判は終結する。同日夕、鳩山由紀夫総理(代表)は、官邸で障害者自立支援法訴訟団、支援団体、弁護団の皆さんらと面談し、訴訟終結の報告を受けるとともに、親しく言葉を交わした。

 面談にはこの問題の解決に力を尽くしてきた、山井和則厚生労働大臣政務官、中山義活総理補佐官、谷博之参議院議員、園田康博衆議院議員、近藤正道参議院議員が同席した。

 冒頭の挨拶で鳩山総理は、「自立支援法に対してけしからんという思いをもっておられた皆様方が、『自立支援法を廃止します』と私どもが申し上げたことにより、取り下げをいただいた。私の方からも感謝を申し上げる」とまず謝意を示した。

 鳩山総理はまた、応益負担によって「皆様方にとっては障害が大きければ大きいほど、ご負担がかかってしまうという、皆様方にとって厳しい自立支援法であったことを私どももよく存じ上げていた」と改めてその問題点を指摘し、「新政権になって自立支援法は廃止をすべきだとの思いを皆様方と同じ方向性を見出し、廃止することになった」と語った。

 また、「自立支援法に変わる法律を皆様方と作り上げていきたいと思っている」とも述べ、それまでに時間がかかることに「ご理解をいただきたい」と求めるとともに、「今日まで自立支援法のもとで皆様方にはご迷惑をおかけしたと思う。そのことについては皆様方に申し訳ないという思いで一杯だ」と、語った。

 「新しい政権のもとで、障がい者の皆様方のための新しい法律を作り上げていきたい。最終的には障がい者の差別禁止法まで作り上げたいという願いも共有している。そのための本部をつくり、そのもとで会議体をつくり、皆様方にも加わっていただくことになった」と、鳩山政権でスタートした障がい当事者が会議メンバーとなって検討を重ねる障がい者制度改革推進会議の意義を強調。「チャレンジドの皆様方のお気持ちが十分にわかりあえる、そのような世の中を作り上げて行きたい」と重ねて宣言し、さまざまな意見やお気持ちを新政権に寄せてほしいと求め、「その声が私どもとって何よりの宝だ」とした。

 原告団代表として挨拶した大谷真之さんは、「障害者自立支援法は違憲だとする原告71名は今日をもって和解が成立しましたので、訴訟は終結することになった」と述べ、「これも鳩山政権のおかげ。この日を迎えられたことに心から感謝する」と語った。

 また、弁護団団長の竹下芳樹さんは、「障害者自立支援法の廃止を掲げる与党3党が政権についたことを踏まえ、昨年の10月6日に山井政務官から廃止を前提として、円満解決するための申し入れをいただき、それから3カ月間、精力的な話し合いをしてきた。谷先生を座長に、与党の議員の皆さんに本当にお世話になり、1月7日の調印式を晴れやかな場で迎えた」と振り返った。そのうえで竹下さんは「ただ、この訴訟によって訴えたことがすべて実現したわけではない」として、鳩山総理のもとで障がい者制度改革が本当に実現して、日本の障害者福祉が世界の手本となることを願っていると求めた。

 司会進行をつとめた谷議員はその要請を受け止めて一層取り組んでいくと最後に締めくくった。

 なお、鳩山総理は出席された原告の皆さん一人ひとりと握手し、障害者自立支援法成立後の窮状などを伺い、今後の障害者福祉のあり方について予定時間を20分もオーバーして丁寧に話を聞いてまわった。また、原告代表の方の声掛けで最後に「いっしょにいい制度をつくっていこう」と総理をはじめ全員で「えいえいおー」と団結の声をあげた。
 

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