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2010/05/26
【参院本会議】口蹄疫問題 赤松農林水産大臣が政府の対策を説明 外山議員が代表質問




 参議院本会議で26日午前、口蹄疫問題を議題に質疑が行われ、赤松広隆農林水産大臣が政府対応について説明し、外山議員が民主党・新緑風会・国民新・日本を代表して質問に立った。

 「私の選挙区である宮崎県において、口蹄疫の発生により被害に遭われた農家を初め、多くの畜産関係者、地域で生活する皆さま方に対し、心からお見舞い申し上る」と冒頭で語った外山議員は、4月20日に口蹄疫の第一例目が都農町で確認されてから1カ月以上が経ち、その間、国は様々な対策を打ち出したが、被害は止まるどころか、むしろ拡大していると指摘。この口蹄疫問題は、日本の畜産、我が国の危機であるとの認識を示した。

 そのうえで外山議員は「与野党の国会議員の皆さん、どうか、この問題を『政争の具』に使わないでいただきたい。また、『政局』にしないでいただきたい」と求め、「今、やらなければならない事は、この国家の危機に、日本の畜産の危機に、国会議員が一丸となって、『見えない敵』である口蹄疫に対峙していくことであり、苦しまれている農家の皆さんに『希望』を与えること」だと強調した。

 外山議員は続いて、17日に開催された鳩山由紀夫総理(代表)を本部長とした政府の口蹄疫対策本部において決定した「基本的対処方針」で、「今回の発生地域は、畜産への依存度が極めて高い地域であることを踏まえ、発生農場や移動制限の影響を受ける農家の生活支援、経営再建・維持のための対策に万全を期する」と明記したことを踏まえ、鳩山総理に農家への支援と必要額の確保について質した。

 鳩山総理は農家の生活支援、経営再建・維持のための対策の十分な実行に向けて政府は総力を上げて対策に取り組んでいると述べ、予備費の活用も当然視野に入れて国が責任を持って対処していくと表明した。

 外山議員はまた、宮崎県家畜改良事業団が飼育していた種牛の農場で、肥育牛から口蹄疫が確認されたことにより、殺処分の方針が決定している49頭の種雄牛について、日本の畜産、宮崎の畜産を守る為に、特例としての経過観察措置へと方針の見直しを総理に求めた。

 これに対して鳩山総理は、防疫指針に基づく対応を行っていくなかにあって特別扱いするのは残念ながら適当ではないとの認識を示したが、宮崎県の畜産復興に向けては国が保有している宮崎牛の種雄牛の提供などで支援を行っていく考えを示した。

 また、これまでの防疫措置と牛豚等疾病小委員会の在り方に関しても外山議員は取り上げ、政府の対応について、一例目が発生した4月20日に農林水産省内に赤松大臣を本部長とする口蹄疫対策本部を立ち上げ、防疫措置に全力を挙げる方針を確認したことは「初動対応はしっかりなされた」と分析。

 そのうえで「しかし、その後、発生の拡大を見る中で、新たな一手を打ち出す訳でもなく、当初の防疫対応を徹底するだけ」だった点について、「専門家で構成する牛豚等疾病小委員会も、必ずしも現地の事情に精通していないこともあり、戦略的対応策を打ち出した形跡はない」とし、そうした待ちの姿勢が蔓延を許したと言われても仕方がない、もっと早く現地対策本部を設けるべきだったのではないかと問題提起。今回の教訓を糧に、専門家の意見と、現地の詳しい状況とを照らし合わせ、迅速かつ柔軟に判断する体制を整備することが極めて重要と考えると指摘した。

 外山議員はまた、消毒ポイントを多数設置しても消毒方法がまちまちで、一般車両の消毒に至っては、任意で協力を得ている状況だと明かし、発生農場以外の消毒についても、法令あるいは防疫指針で詳しく定めるべきだと提案し、消毒の徹底を赤松大臣に求めた。

 さらには、慢性的な人手不足に直面している現地からは、知事の要請で出動している自衛隊員にも、埋却処分だけでなく消毒作業等幅広くかつ臨機応変の対応への要望が上がっている点を踏まえ、自衛隊の活動範囲の弾力的な判断の必要性を鳩山総理に指摘した。

 最後に外山議員は、「今回の口蹄疫が一日も早く終息して、宮崎県が元の平和な畜産県の姿を取り戻し、全国の農家や消費者に安心・安全を宣言できるよう、関係省庁一体となって事態に対処して頂きたい」と強く要望し、質問を終えた。
 

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