菅直人総理は11日午後、衆参の本会議で所信表明演説し、「20年近く続く閉塞状況を打ち破り、元気な日本を復活させること」を自らの内閣の使命と訴え、「私を信頼してほしい」と国民に呼びかけた。
冒頭、「前総理の勇断を受け、政権を引き継ぐ私に課せられた最大の責務、それは、歴史的な政権交代の原点に立ち返って、国民の皆さまの信頼を回復すること」と民主党政権として再スタートするとした。
また、草の根から活動し、身一つでの政治参加したこと披歴し、「志をもって努力すれば誰でも政治に参加できる。そういう政治を創ろう」と呼びかけた。
政策課題として、「戦後行政の大掃除の本格実施」、「経済・財政・社会保障の一体的建て直し」、「責任感に立脚した外交・安全保障」の三つを掲げ、それ
ぞれ説明した。
「戦後行政の大掃除の本格実施」では、改革の続行を宣言し、無駄遣い根絶の徹底、省庁の縦割りの排除、公務員の天下り禁止、行政の密室性打破を実行するとした。そのうえで、地域主権改革を推進するとした。
「経済・財政・社会保障の一体的建て直し」では、これによって閉塞状況を打破し、「国民が未来に対し希望を持てる社会を築く」とした。その道筋として、「私たちが追求するのは『第三の道』」だとして、経済社会が抱える課題の解決を新たな需要や雇用創出のきっかけとして成長につなげるものと説明した。さらに「新内閣は、『強い経済』、『強い財政』、『強い社会保障』の一体的実現を政治の強いリーダーシップで実現する」との決意を表明した。
「強い経済」では、安定した内需と外需を創造し、富が広く循環する経済構造を築く必要があるとして、「グリーン・イノベーション」、と「ライフ・イノベーション」の進展、アジア経済の成長を日本の市場として取り込むこと、観光立国・地域活性化を目指すとした。そのうえで、2020年まで年平均名目3%、実質2%を上回る経済成長を目指す。
「強い財政」では、財政の危機的状況を改善するため税制の抜本改革に着手するとした。そのうえで、「財政健全化の緊要性を認める超党派の議員により『財政健全化検討会議』を創り、建設的な議論を進めよう」と与野党の議員に呼びかけた。
「強い社会保障」では、経済、財政、社会保障はそれぞれが互いに好影響を与えるものと認識を示し、安定的な社会保障の提供は、国民の安心を約束し持続的な成長を導くとした。
また、「一人ひとりを包摂する社会」を掲げ、支え合いのネットワークから誰一人排除されることのない社会を目指すとした。
「責任感に立脚した外交・安全保障」では、「この国をどういう国にしたいのか、時には自国のために代償を払う覚悟できるか。国民一人ひとりがこうした責任を自覚し、それを背景に行われるが外交である」として、世界平和の理想を求めつつ、現実主義を基調とするとの基本を示した。そのうえで、日米同盟を基軸として、アジア諸国との連携を強化するとした。また、普天間基地問題について、移設、返還と一部海兵隊グアム移転を何として実現しなければならないとして、沖縄の負担軽減に尽力するとした。
最後に、リーダーシップを持った総理大臣になれるよう、国民に支援を求めた。
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