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2000/09/25
【衆議院代表質問】先見性も戦略性もなく失点続きの森外交=岡田政調会長
 鳩山代表から一人おいて登壇した岡田克也政調会長は、まず第2次森内閣について、「来年1月の省庁再編を控え、なぜ半年間しか任期のない内閣を作ったのか。半年間の大臣では改革は足踏み。官僚ペースで重要なことが決まる」と批判した。

 最初に外交・安全保障を取り上げた岡田政調会長は「森外交には先見性も戦略性もなく、目の前にある大きなチャンスをみすみす見逃し、失点を重ねているとしか見えない」として、まず日露平和条約交渉の結果について「大国間の外交交渉にはめずらしい一方的なもの」と指摘し、「2000年末までの平和条約を締結することを事実上断念したのか」などと首相にただした。これに対し森首相は、「断念したという指摘はあたらない。本年末まで努力を継続していく」と強弁した。

 また、首相のインド・パキスタン訪問については、「何のための訪問だったのか理解できない」として、「両国の核保有問題に関してどのような成果を上げたのか」などと迫った。

 さらに、普天間飛行場移設問題では、沖縄サミット時の日米首脳会談でこの問題を真剣に話し合った形跡はないとして、「森首相の姿勢は沖縄県に対して不誠実で、米国政府に対して果たすべき責任から逃げている」と批判した。
 有事法制について岡田政調会長は、首相が所信表明演説で自らの意思を明確にしていないことを批判した上で、「緊急事態や有事の名の下に基本的人権を不当に制約しないとの基本原則をまず確認することが極めて重要」と主張した。

●外国人地方参政権問題でリーダーシップ示せ

 続いて経済・財政問題を取り上げた岡田政調会長は、まず補正予算について、「民間の資金需要が活発化する中で公共事業を中心とした景気対策を実行することは、必要でないのみならず、金利上昇を招き民間の自立的回復に水をさす」と指摘。また、首相が所信表明の中で「社会保障の基本は自己責任の原則にたつ社会保険方式」と述べたことについて、岡田政調会長は「社会保障の財源の議論は世代間の公平の確保、システムの効率性や安定性などの視点を踏まえた議論がなされるべき」と反論した。

 今国会の焦点となっている問題のうち、まず永住外国人の地方参政権について、「賛否が決まっていないのは自民党だけ。自民党総裁として強いリーダーシップを発揮すべきだ」と求めた。これに対し、首相は「党内には賛成から反対までさまざまな意見がある。昨年の三党合意に自民党幹事長としてかかわった経緯もあり、私なりの考えは有しているが、意見を言うべきではない」などと全くの及び腰ぶり。

 また、少年法改正問題では、岡田政調会長は、人格の形成過程にある未成年者に対する刑事処分について、「凶悪事件に目を奪われるあまり、更正の可能性ある少年の未来を奪うことにならないのか」と首相に見解をただしたが、「国会でのご議論を」と述べるだけだった。

 また、久世前金融再生委員長の党費立て替え問題では、「事実上自民党と一体化した財団法人自由民主会館か架空の党員を使った裏献金の疑いが濃厚だ」として、自民党総裁としての森首相の答弁を求めたが、「自由民主会館で募った寄付であり、維持運営費用」と従来通りの答弁だった。

●本会議の活性化に一石 

 持ち時間を残して質問を終えた岡田政調会長は、首相の答弁が終わると手を挙げて再質問を要求し、与野党の議場内交渉で再質問が認められた。与党側からやじが飛ぶ中、岡田氏は「前例があり、もめることがおかしい」と一蹴し、(1)共同資料をこれから作るとか世論に説明するなど、日ロ平和条約締結は12月までにできないことが前提ではないか。(2)七月の日米首脳会談で本当に普天間飛行場について個別に議論したのか。(3)自由民主会館に寄付をするということは、その分自民党の賃料負担を軽くすることになるのではないか。――と質問した。

予定外の質問に首相はうんざりした表情で、 (1)については、「両国の関係者で努力を続けたい」と繰り返し、(2)では、「極めて時間が短い中で二国間の協議にはある意味では儀礼的なところもある」 (3)「自由民主会館については先ほどの申し上げたことですべて」〜などと答弁した。

岡田政調会長は、二度目の首相答弁が終わると三度目の質問を要求、普天間飛行場問題でのクリントン大統領とのやりとりについて重ねてただした。最後に「本会議を活性化するために、国会議員のみなさん一人ひとりがこういう形で時間の範囲内で再質問することを提案して、国会審議に一石を投じたつもりだ」と呼びかけて、質問を終えた。
関連URL
  代表質問の全文
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=8805
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