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2000/06/16
鳩山代表が「財政健全化10カ年プラン」策定を提唱
 鳩山代表は16日、大宮市のホテルで記者会見し、経済再生と財政健全化の両立をめざす立場を改めて表明、あわせて「財政健全化10ヵ年プラン」の策定を提唱した。
 鳩山代表は10カ年プランについて「政権を奪取したら、ただちに策定したい」と述べ、その理由と方向性について、「2020年には団塊の世代が65歳から70歳を迎え、高齢化のピークを迎える。したがって、財政健全化の道のりをこの10年間で何としてもつくり上げねばならない。方向としては、限りある資源を最大限に活用するため、ムダを省きながら必要なところに資源を再配分することであり、経済を自立させていくことだ」と説明した。

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経済再生と財政健全化の両立をめざす
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■自公保政権の経済・財政政策は二重の意味で誤りである。

 景気回復と財政健全化の「二兎を追うものは一兎も得ず」という自民党の経済・財政政策は、二重の意味で誤りである。
 第一に、公共事業の波及効果は年々低下していることは明らかで、従来型公共事業の積み増しによるバラマキ景気対策では、財政赤字を拡大させるだけで本格的な景気回復につながらないことはバブル後の10年で実証済みである。自民党の景気対策は、その処方箋自体が間違っている。
 第二に、財政赤字の巨大化が国民の将来不安を増幅し、GDPの6割を占める消費を抑制している。赤字を拡大させるほど本格的な景気回復を遅らせるという悪循環に陥っていることは明らかで、このままでは本格的な景気回復は望めない。

■自公保政権には危機管理能力がない。

 仮に、ある程度景気が回復したとしても、資金需要の拡大が金利を押し上げることで景気回復の足枷になるばかりか、大量の国債を保有している金融機関が再び経営危機に陥るリスクが高まる。近年、長期金利が名目成長率を上回る状況が続いていることを考えれば、そのリスクは現実となり、自公保政権が財政再建に着手する条件としている2%成長を達成・持続することは、極めて困難である。
 一方で、景気回復後も引き続き、金利を抑制するためにゼロ金利政策を継続すれば、インフレを招くことは避けられない。
 いずれにしても、自公保政権はそういった認識が全くなく、危機管理能力がないと言わざるを得ない。

■経済再生と財政健全化を両立させる

 経済の持続可能な安定成長を実現するためには、少なくとも財政のサスティナビリティーを維持し続けることが必要である。あわせて、国民の将来不安を払拭するために社会保障財源を確保し、GDP(国内総生産)の6割を占める個人消費を拡大させなければならない。

 以上の理由から、われわれは、経済再生と財政健全化の両立をめざす必要があると考える。


■■「財政健全化10カ年プラン」の策定を提唱する


 わが国の財政は既に危機的な状況にあるものの、幸いにも、その資源を有効に活用しているとは言い難く、無駄を省いて必要なところへ再配分する余力が残っている。2010年代には「団塊の世代」が高齢者となることを考えれば、わが国の将来にとってこの10年は極めて重要な意味を持つ。
 われわれは、この10年の間に、少なくとも財政赤字の累増を食い止める必要があると考える。無論、高齢化が第一次のピークを迎える2020年代を迎えるための備えには不十分であり、いずれは本格的な負担増が避けられない。その負担増をいかに抑制できるかはこの10年にかかっている。
 そこでわれわれは、「財政健全化10カ年プラン」を策定し、急増する社会保障費を確保しつつ、将来の国民負担増を最小限に抑制することを提唱する。

■財政健全化の方策

1.限りある資源を最大限活用するため、無駄を省き必要な分野へ資源を再配分する。

 (1)経済の持続可能な安定成長を実現し、税の自然増収を確保する。
 (2)財政の透明化と情報公開の徹底で無駄を省くとともに、人件費総額を10年で3割程度削減する。
 (3)「公共事業コントロール法」を活用して事業の選別や効率化をはかり、公共事業費を少なくとも10年で3割削減する。
 (4)人口減少・少子高齢化に対応するため、制度の適正化・効率化をはかる社会保障の構造改革を進めつつ、歳出削減で生じた財源の一定部分を社会保障分野へ再配分する。
 (5)その場合であっても、基礎年金部分の全額税方式化に要する財源を含めれば、新たに国民負担を求めざるを得ない。現状では大幅な負担増が見込まれるが、限りある資源を最大限活用するための「資源配分の見直し」により、相当程度抑制できると見込まれる。

2.国のかたちを分権連邦型に変え、中央集権=政官業癒着の無駄をなくす。

 (1)「中央政府権限限定法」を制定し、中央政府のスリム化をはかる。
 (2)「道州制」の導入により、まずは10程度の「州」と1000程度の「市」への再編を促し、地方行政の合理化・効率化をはかる。
 (3)当面は、非裁量補助金を除き、使途を限定した個別補助金を廃止し、使途を限定しない包括補助金に転換する。
 (4)将来的には、国と地方の税源比率を現在の「2対1」から「1対1」に転換し、負担と給付の関係を接近させて「地域のことは地域で決める」社会を実現する。
関連URL
  経済再生と財政健全化の両立をめざす
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=8807
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