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2010/11/08
【衆院予算委】TPP基本方針は日本の新たな繁栄を築くための大戦略のスタート 近藤洋介議員質問に菅総理
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衆議院予算委員会で8日午前、「平成22年度補正予算」に関する基本的質疑が行われ、トップバターとして近藤洋介が質問に立ち、菅直人総理(代表)をはじめ関係閣僚の見解を質した。
近藤議員ははじめに、「この20年間全体として緩慢なる衰退を続けてきた」として、「これまでの経済失政の根本原因」、「今の日本経済の立て直しに最も求められている姿勢」を質問。
菅総理は、バブル崩壊の1990年以降、公共事業依存の経済政策により巨額の赤字国債を積み上げた「第一の道」、偏った市場原理主義に基づく「第二の道」では、国全体として格差が広がりデフレ状況を長期化させたと総括。需要、雇用を拡大するためにライフイノベーション、イノベーション、アジアとともに成長する経済政策を備えた「第三の道」の戦略が必要との考えを述べた。
近藤議員は、「これまでの反省を踏まえ新しい方向性で政策のベストミックスを図るのが民主党政権。スピード感ある対応と総理の強いリーダーシップを」と期待を寄せた。
そのうえで、「経済政策の目的は、国民の居場所と出番、自己実現の場やチャンスをつくること」との見解を示し、雇用を軸にした菅政権の政策を評価。日本の経済構造のグリーン産業への転換と雇用の拡大と一石二鳥の措置であると述べる同時に、円高により多くの日本企業が海外進出していく状況なかで企業の研究拠点、工場を国を挙げて作るべきだと主張した。
菅総理は北九州のリチウムイオン電池部品工場視察にも触れ、「グリーンイノベーション、低炭素型の産業はこれからの世界戦略ともいえる産業でもあり、高度な技術を持った企業を日本に残し、発展させていくことは雇用、産業両面からも極めて重要」だと強調。低酸素型産業の国内立地支援として約1100億円を計上し公募を始めていること、国を挙げて投資を促す仕組みとして日本国内投資促進プログラムの策定を経済産業大臣に指示、官民一体となり日本国内投資促進円卓会議で議論していることを挙げ、国内投資の促進と雇用の創出に全力で取り組む考えを示した。
近藤議員はさらに、「日本が輸出戦略で他国に打ち勝つためには発電システム、鉄道システムなど、システム全体を輸出の柱にすること極めて重要」だと主張。ベトナムのグエン・タン・ズン首相との会談において、ベトナムにあるレアアース(希土類)の共同開発やベトナム国内で進めている原子力発電所2基の建設を日本側が受注することで合意したことに言及、その成果とトップセールスの役割について菅総理に見解を質した。
菅総理は、政権発足から5カ月のなかでインドとのEPAやベトナムとの商談成立の意義を説き、今後、これまでの地道な積み重ねが次々と新たなアジアの成長を日本の成長につなげていく戦略として花開いていくと手応えを語った。
「チームで取り組んだ成果」だと政府の取り組みを称えた近藤議員は、次に円高メリットの活用について野田佳彦財務大臣に質問。
野田財務大臣は、第一ステップの経済対策において、外為特別会計から1.5兆円をメドに活用できるような環境整備したと答弁。円高は輸出産業、それに係る中小企業にとってはマイナス要因になる一方、メリットもあるとして、海外資産の購入や企業の買収事業は積極的に進めていくべきとの考えを示した。
近藤議員は「ぜひ積極的に進めて欲しい」と求めると、大畠経済産業大臣には中小企業支援策について訊ねた。
大畠経済産業大臣は、年末、年度末を控え資金繰りの需要が高まっている状況を踏まえ、今回の補正予算では総額15兆円規模の資金繰り支援策を盛り込んだと説明した。
近藤議員はまた、人口が減少するなか、年金・医療等社会保障の財源を得るため、ふるさと、地域社会を維持するためには国内の需要拡大に加え、米国を含めたアジア、太平洋という大きな市場を活躍の場にすることが今まで以上に求められるとして、環太平洋連携協定(TPP)協議の意義を菅総理に訊ねた。
菅総理は、農業の再生を念頭に置きながら、「国をひらく」という今後の日本のあり方にとって重大な決定ともいえる包括的経済連携に関する基本方針を策定したところだと述べ、「これからの日本の新たな繁栄を築くための大戦略のスタート」だと表明。自身が本部長となり、新たに農業構造改革推進本部立ち上げて農業の再生に取り組み、抜本的な改革を進めながら、開国をも進めていきたいとして、「TPPについては国民の皆さんに農業の再生と国をひらくという、二つを両立させるために国民の皆さんと議論をしながら全力挙げて取り組んでいきたい。平成の開国は必ずや元気な日本を取り戻す大きな力になると確信して進めていきたい」と語った。
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