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2002/05/17
【衆院厚労委】山井議員「医療費の3割自己負担は消費減退招く」


 17日、衆議院厚生労働委員会において民主党の山井和則議員が質問に立ち、坂口厚労相らに健康保険法改正案をめぐって質した。

 山井議員は冒頭、連休に訪れたスウェーデンの医療と福祉の状況を「スウェーデンでは医療と介護の仕切りがうまく行われており、十分な時間をかけて情報の開示もなされている」と報告し、参考にすべき点があるかどうか大いに検討が必要だと前置きした。

 続いて山井議員は「小泉首相は景気回復、そして消費拡大を叫んでいるにもかかわらず、医療費の3割自己負担は、(その消費拡大に)明らかに逆行する」と指摘。支出が増えることによって心理的影響を及ぼし、消費減退を招く可能性があるとの懸念を示した。これに対し坂口厚労相は「単に3割になるだけで景気に影響するとは思わない」とした。

 山井議員はこの問題をさらに掘り下げ、患者一人あたりの負担増に関する資料の提示を求めたが、政府側は「データを持ち合わせていない」との答弁に終始。山井議員はこの答弁に「負担増がどのくらいになるかわからないが、法案は通してくれでは話が成り立たない」と声を荒げて批判し、病気に苦しむ患者の負担増ではなく、抜本改革による費用の削減こそが優先課題であるはずだとの指摘した。

 次に山井議員は、医療機関の情報開示・レセプト開示をめぐって改善が進んでいない現状を問題視した上で、「医者は本人が希望すれば100%開示してくれるのか」と質問。坂口厚労相は原則はそうだが、家族の申し出などがあれば開示されない場合もあるなどとし、総合的な判断によるとした。山井議員は本人・家族が求めた場合も開示しないというのでは医師と患者の信頼が成り立たないと指摘。坂口厚労相は「カルテ・レセプトとも要求すれば開示する方向に向かっている」などとしたが、山井議員は「平成13年の段階で3年をメドに行うとしており、そういう意味では助走期間が終った」との認識を示し、医療の質の向上のためにも具体的検討を求めた。

 また、山井議員は介護保険と医療保険の関係について質問。介護療養施設に空きができないために、医学治療が終っているにもかかわらず医療療養施設にとどまっている場合の取扱いについて、「患者本人の問題ではなく受け入れ側の問題でもある」と分析。介護保険に該当させるなどの配慮と介護保険施設の整備を促進させるための自治体への働きかけの必要性などを提起した。
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