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2011/02/24
「子ども手当の継続を」一人親家庭、児童養護施設長らが意義を訴え
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党厚生労働部門と子ども男女共同参画調査会は24日、国会内で合同会議を開催し、本会議で同日政府案の趣旨説明・質疑が行われた「子ども手当」について有識者や関係団体等からヒアリングを行った。
国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩・社会保障応用分析研究部部長が子どもの貧困と「子ども手当」との関係をテーマに基調講演。「健康、学力、住居など子ども期の貧困が成長に影響する経路は様ざま。子どものニーズは多様で、すべて十分に現物給付はできないのだから、色の付いていない現金給付は重要。お金ですべては解決できないが、お金で解決できるものも多い」と子ども手当の意義を解説した。そのうえで、子ども手当に伴い他の子ども政策が抑制されることのないよう、特に市場で公平な供給が望めない分野、例えば障がい児施策やへき地等の医療提供体制などでの現物給付の必要性を指摘した。
全国児童養護施設協議会の高橋利一特別委員会委員長(法政大学名誉教授)は、23年度から施設の設置者に支給されることになっている子ども手当について「子どものために活用していく資金」とその意義を強調した。今年度は児童養護施設に入所していて、子ども手当の支給対象とならない子どもについては、手当相当額の特別な支援が実施されているが、平成23年度の子ども手当法案では、児童養護施設に入所している子どもについて、施設の設置者に子ども手当を支給することとした。高橋氏は「クラブ活動にもお金がかかる。あきらめていたことが子ども手当で可能になり、やる気を出す資金になる。将来に向けて子ども手当を貯蓄すれば、大学進学も考えられる。子どもが施設を出て家庭に帰るときにも、自己実現を可能とする資金となっていく」と23年度の子ども手当法案への期待を語った。児童手当では中学生に対する手当がなかったが、同協議会の武藤素明制度政策部長は「公費から措置される費用は最低基準。進学費用には十分ではなく、子ども手当を継続して、子どものために有効に活用させてほしい」と中学生への支給がもつ重要性を指摘した。
父子家庭の支援に取り組んでいる特定非営利活動法人全国父子家庭支援連絡会の片山知行代表理事は、「2009年の総選挙は、子どもや子育てが前面に出た初めての選挙だった。民主党の『すべての子ども』という考え方に賛同する。児童手当の所得制限は前年の所得を見るので、リストラなどで急激に所得が減ると、一転貧困に陥ってしまう。お金がないと生活に困ってイライラし、それが子どもへの虐待につながることもある。子ども手当は非常な重要」と子ども手当を継続してほしいと訴えた。また、「テレビの街角インタビューで子ども手当ついて尋ねられ、『ばらまきだ』『要らない』などと言っている親がいるが、本当だろうかと思う。私の周りでは皆、助かっている、有難いと言っている。生活に困っていても、特に男性にはプライドがあるからなかなか言い出せない」と男親の気持ちを代弁した。
小5と小3の子どもをもつシングルマザーは、「下の子は重度障害を持っており、毎日の送迎や介助が欠かせない。自分も病を患い、子ども手当が支給されてから仕事をやめ、児童扶養手当や障害児手当等と実家からの食糧費等で生活している。子ども手当が打ち切られたら完全に生活ができなくなってしまう。児童手当では中学生に入ると打ち切られる。どうか来年度以降も子ども手当が支給されるよう切に願っている」と発言。
3人の子をもつシングルマザーは、「月に3万9000円いただき、本当に有難い。子ども手当が児童手当に戻ってしまうと、中学生の子どもの分はなくなってしまう。親も年老いており、これ以上頼るわけにはいかない。どうか子ども手当を続けてほしい」と語った。
石毛えい子厚生労働部会長は会のしめくくりで「本日のヒアリングを通して改めて子ども手当の重要性を認識した。法案を成立させるために全力で取り組もう」と決意を語った。
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