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2011/03/07
【参院予算委】一川政審会長、平成23年度予算の基本的質疑行う




 参議院予算員会で7日、4日に引き続き平成23年度総予算3案に関する基本的質疑が行われ、一川保夫議員(参院政審会長)が経済・財政政策を中心に菅直人総理(党代表)をはじめ野田佳彦財務大臣、玄葉光一郎国家戦略担当大臣(党政調会長)らに見解を質した。

主な質問は以下の通り。

■経済・財政政策

一川議員 日本の経済現状と今後の見通しについて、政府は「順調に回復を遂げていると説明しているがその根拠は。

菅総理 平成22年度の実質経済成長率が3.9%であること、今年1月の失業率が4.9%と2カ月連続で5%を下回るなど足踏み状態を脱しつつあるという認識であり、さらに安定的な成長につなげていきたい。予算、税制等による新成長戦略の本格実施を通じて所得、雇用環境の改善が民間需要に波及する動きが徐々に強まってきている。海外の情勢を注目しながら国内の民間需要拡大を図り、成長の好循環につなげていきたい。

一川議員 23年度予算の政府原案づくりにあたり実施した「元気な日本復活枠」の政策コンテストについて、結果としてメリハリのある予算組み替えを実現できたか。あわせて税制改正のポイントの説明を。

玄葉大国家戦略担当大臣 特別枠の活用は、予算の組み替えをするためのひとつの知恵。結果として0.9兆円を新成長戦略関連費に、社会保障関連費を5%アップ、科学研究補助金を30%アップとメリハリのある予算をつくることができた。また、税制改正もデフレ脱却と格差是正の観点から法人実効税率を5%減税、NPO税制については所得控除に加え税額控除を認める措置を盛り込んでいる。さらに、寄付税制を受けることのできる認定要件を大幅に緩和し、この措置によって法案が通れば日本の寄付文化が変わると期待している。

一川議員 法人税減税が所得還元につながることが望ましいが。

野田財務大臣 法人関連の減税について、法人税は実効税率で5%引き下げ、中小の軽減税率は18%から15%への引き下げ(対象は73万社くらい)を提起している。その狙いは、国内企業の国際競争力強化と海外企業の国内立地促進の観点から。環境整備することで攻めの経営、雇用や投資のための引き下げ措置であり、この思いをしっかり受け止めて経営してほしい。

一川議員 離島対策、過疎対策、環境対策等について民主党らしい気配りのある予算が盛り込まれているか。

玄葉国家戦略担当大臣 今回の予算の柱は「デフレ脱却、成長・雇用」「国民の生活が第一」「地方重視」。これまで十分光を注げなかったところに光を注ぐものであり、例えば離島の皆さんにとって一番大きいと言われるガソリン価格、離島空路など生活コストを引き下げる措置をした。

■社会資本整備

一川議員 これからの社会資本整備について取り組み方針をどう考えるか。

大畠章宏国土交通大臣 国土交通省では、国民の命と暮らしを守る国交省という姿勢で取り組んでいる。道路にかかる橋、学校などいずれ劣化してくるものであり長期的な計画の下に対策を進めることが大事。社会資本整備重点計画の見直しを進め、昨年12月には社会資本整備の新たな重点計画の骨子まとめた。それに基づき、自然災害対策、インフラ、住宅の耐震化、さらに港・飛行場の機能強化等々国際競争力に対応できる国内の社会資本整備を進めていきたい。これらを柱に具体的な施策や連携については国会での議論や地方公共団体、国民の皆さんの意見を聞きながら夏までの策定を目指していきたい。

■災害対策

一川議員 今冬の豪雪災害対策は、豪雪地域の過疎化・高齢化による災害弱者を直撃した。こうした山間地域は政策も手薄になりがちであり、現行制度を見直し、地元に負担のかからない災害復旧のかたちへ切り替えるべきではないか。

松本龍防災担当大臣 今回の豪雪被害では、65歳以上の亡くなられた方が全体の65%以上であり、大変重要なご指摘。国土交通省とチームを組みながら対策を検討している。詳細な分析を行いながら地域の防災力向上など様々な点で雪害対策の見直しに取り組んでいく。

■郵政改革

一川議員 郵政改革関連法案を成立させることは与党の責任。改革の必要性をどのように認識しているか。

菅総理 かつての郵政の議論では、全国あまねくサービス受けることにできるようにするという観点が抜け落ち、金融の自由化的側面のみが強調されていた印象。郵政改革関連法案は、国民新党との連立政権発足時からの約束であり、実現に向けて決意を新たにしている。与野党含めて問題を超えていく道筋を見出していきたい。

 なお、一川議員に続き植松恵美子、吉川沙織両議員が質疑に立った。
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