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2001/02/05
(K)金で・(S)政治家を・(D)抱き込むKSDに自民党は総汚染=上田議員代表質問


5日の衆議院本会議で、鳩山由紀夫代表に続き、上田清司衆議院議員が、民主党・無所属クラブを代表して質問に立った。

 上田議員も鳩山代表に引き続きKSD疑惑を取り上げ、総額20億円以上がKSDから政治家や自民党に支出されたとして、有名女性演歌歌手の歌謡ショーチケットを400枚(200万円相当)を手にし、翌年の衆議院選でも10万円の陣中見舞いを受け取ったとされる森首相自身に、事実関係の説明を迫った。

 首相は、「地元事務所が人集めの手伝いをしたのは明らかだが、枚数はわからない」とし、寄附は適正な処理を行っているとした。

 また、ものつくり大学を推進する「国際技能工芸大学設立議連」には元・現首相から現職閣僚、自民党最高幹部までが顔をそろえており、まさにKSDに総汚染されているように見えると分析。さらに「施政方針演説にまで一民間人の私立大学構想が挿入されていたことは不自然」「自前の資金が3億8000万円、労働省が85億円負担では私立大学に値しない」と問いただした。

 さらに、上田議員が、額賀前経済財政大臣の辞任について、森首相の任命権者としての責任を質したのに対し、首相は「閣僚辞任は結果として遺憾、国民に申し訳なく思っている」と陳謝した。

 上田議員はまた、KSDの会員勧誘に金融機関が関わっている事例を指摘。「KSDがその事業目的を達成するため、カネをバラまき、政界・官界を工作してきた構図がみえる。KSDの『K』はカネ、『S』は政治家、『D』は抱き込む、KSDの別称は『カネで政治家を抱き込む』ことだ」と、言葉を強め、「金額も人数も、リクルート事件以上の疑獄事件だ」として、真相究明を首相に重ねて求めた。
 
 質問のテーマは外務省機密費流用問題に移り、上田議員は「外務省調査は個人の犯罪と矮小化している」と批判。松尾氏のすべての銀行口座を調査するよう迫った。そして、「個人の犯罪でなく外務省ぐるみだと判断すれば大臣として責任をとるのか。着服した公金は外務省機密費なのか内閣官房機密費なのか明らかにすべき」と森首相と河野外相の見解を求めた。

 首相は「機密費は内政・外政を円滑に推進する上で不可欠な経費。使途は明らかにすべきではないが、運用については総点検し、厳正かつ効果的な運用に意を用いていく」として、外務省に十分な調査を指示したと答えた。

 上田議員は「金融問題を中心とする経済政策の失敗の10年を正しく総括しない限り、失われた10年は20年になる」と述べた上で、かつて日本経済の舵取りの主役であった首相・蔵相経験者である、橋本行政改革担当相、宮沢財務相の二人に「日本のバブルの後遺症は解消されたか」と迫った。

 宮沢大臣は「かつてのような金融機関の健全性を欠いているのは事実だが、かつてのジャパン・プレミアムのような問題を生ずることは解消した」とした。橋本大臣は「バブルの後遺症は解消の方向に向かっており、金融機関においても不良債権に対する必要な手当てを行っている」と述べた。

 続けて、上田議員は、昨年刊行された「犯意なき過ち−検証バブル」(日本経済新聞社)に掲載された宮沢財務相のインタビューを問題視。宮沢氏はこの中で、「野党の若い諸君が法律をつくって、日本長期信用銀行をつぶした。(中略)大銀行をつぶすのはエキサイティングなことだったんでしょうな、きっと」などと、旧長銀破たんの原因が野党にあるかのような発言をしている。上田議員は、「みずからの無能無策ぶりを省みず、我々を愚弄するとは絶対に許せない。宮沢大臣は大臣失格。いますぐ辞表を提出してほしい」と激しい口調で詰め寄った。答弁で財務相は「おわびして撤回したい」とあっさり引き下がった。

 上田議員は、最後に、改正住民基本台帳法による国民総背番号制は、政府が国民を管理する社会システムを生む、として、これを廃止するよう求め、いったん質問を終えた。

その後、閣僚の答弁に対し、上田議員は再質疑を要求。再び登壇し、外務省機密費の問題について河野外相に「なぜ他の口座についての調査ができないのか」「機密費がほとんど使い切られているが、“当面の任務と状況に応じて機動的に使用される経費”である以上、本来は年によってはバラツキがあるはず」とさらに追及した。

 河野外相は「外務省には強制捜査権がない」との答えを繰り返し、他の機関の捜査を待つとした。また毎年機密費を使い切っている点については「とりわけ近年は外交に力を入れている。国際情報を収集する上でもっと必要なくらい」と半ば開き直りながら答えた。
関連URL
  施政方針演説に対する代表質問全文
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=8801
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