参議院本会議で7日、前日に引き続いて施政方針演説に対する各党の代表質問が行われた。民主党・新緑風会からの2番手として石田美栄参議院議員が登壇した。
冒頭で石田議員は、「2つの世紀にわたって生きることの幸運なめぐりあわせを喜びたい」としながらも、輝かしい世紀が始まったと実感する人がどれだけいるかと指摘。自民党の利権最優先、問題先送り、国民・有権者をないがしろにした政治が、国の活力を失わせたとした。
質問では、まず森首相に「日本新生内閣と銘打っているが、過去に政治判断を誤って、失われた10年を演出した張本人たちを配した内閣で本当に新生できるのか」と皮肉をまじえて迫った。
また地方分権についての民主党の理念を示した上で、「政府が進める市町村合併は、権限や財源は相変わらずの中央集権的システムのままであり、真の地方分権とは言えない」
と批判した。
また、安心して子育てできる環境の整備にも大胆な地方分権が必要、とした石田議員は仕事をしながら子育てをした自分の体験から「職住接近の生活環境を創ることが重要」と提言。雇用環境の整備、働く親の要望の強い「子ども看護休暇制度」「短時間勤務制度の充実」「ベビールーム、保育所、学童保育を含めた総合的な保育事業制度」の充実を求めた。
続いて石田議員は、新たな役割を担う市民セクターとしてのNPOへの育成支援策について、寄付税制をはじめとする民主党の積極的なNPO支援税制に比べ、「政府の税制案では、圧倒的多数のNPOが、制度を利用できない」と指摘。政府案の目的、効果などは疑問だとして、森首相の認識を質した。
これに対して森総理は、「認定要件を満たしていれば、税制上の特別処置の対象となる。できるだけ多くのNPO法人の積極的な活用を期待している」などと正面から答えようとはしなかった。
次に、KSD疑惑で明らかにされた自民党党費の立替え問題に触れ、「自民党の比例順位は金次第ということを如実に表している」として、それ自体わいろと同じだと厳しく批判した。さらに、自民党が参議院比例代表選挙制度を非拘束式に強引に改悪したのは、「自民党の一部特定団体との癒着構造を国民の目からそらすためだったのではないか」と迫った。
石田議員は、「参議院としても証人喚問などで疑惑の追及を行い、その真実を国民に明らかにする責任がある」と指摘。連立与党の公明党・坂口大臣と保守党・扇大臣にもコメントを求めた。坂口大臣は「証人喚問は疑惑解明の選択肢のひとつだと思うが、それだけしかないのでは議会制民主主義が閉塞する。そこに至る努力こそが重要。伝家の宝刀は最後の段階まで抜かないところに意味がある」などとはぐらかし、扇大臣は「疑惑の対象議員は議員としての誇りと尊厳をもって明快な説明をすべき」と述べた。
続いて、石田議員はライフワークの「教育改革」を取り上げ、最近の改革論議について、文部科学省、中央教育審議会、教育改革国民会議の発表や提言、担当者の発言などに混乱や矛盾がみられると指摘。諮問機関である教育改革国民会議の報告をどう評価し、扱うつもりかと首相に質した。森首相は「国民会議の報告は自由な議論のたまもの。矛盾はない」としか答えなかった。
また、中高一貫教育の推進に関して、昨年の通常国会で小渕前首相が「5年間で全国に500校」と公約したものが、平成13年度予定も含め公立校でわずか29校に留まっている点をあげ、「言いっぱなしにしておくつもりか」と迫った。
また少人数学級の実現について、石田議員は、政府の「国の標準より小さな学級編成をすることを特例的に認めるが、増える教員の人件費は都道府県負担」との提案を、「小出しの姑息な提案」だと断じた。さらに、政府が少子化による児童・生徒数減で浮く人件費で、非常勤講師の雇用や教師を定年退職後再雇用することで、20人授業の実現を打ち上げている点についても、「ごまかしだ」と批判。「こんなことで、基礎学力の向上ときめ細やかな指導のための少人数指導を実施する“教育改革国会”とは、お笑いごとだ」と語気を強めた。
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