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2001/02/16
無責任な減税・改革先送りの寄せ集め〜五十嵐文彦議員が租税3法案で代表質問
衆議院本会議で16日、「平成13年度公債発行特例法」「法人税法改正案」「租税特別措置法改正案」の3法案の趣旨説明とそれに対する代表質問が行われ、民主党・無所属クラブからは五十嵐文彦議員が登壇し、政府の見解をただした。

 五十嵐議員は本題に入る前に、宇和島水産高の実習船「えひめ丸」の衝突沈没事故に対する森首相と政府の対応について、「日米両国間の信頼関係に基づく同盟関係に深刻な影響を及ぼしかねない発展性をもっている。米側の異例の迅速な陳謝はまさにそれを懸念したもので、我が国総理に同等の懸念の感覚がないことはまことに恥ずべきこと」と断じた。

 19兆5580億円の公債を発行できるようにする平成13年度特例公債法案に対して、五十嵐議員は、「 “このままの政策を継続すれば、公債発行額、公債依存度は14年度以降急激に増加し、もはや手をつけようのない状態になる”とした財務省の「財政の中期展望」を例に挙げ、どのような政策努力・転換をすれば脱却できるのかを宮沢財務相に質した。しかし財務相は「まずは足下の増収から」などとはぐらかし、危機感のない答弁を重ねた。

 次に、企業再編税制を盛り込んだ「法人税法改正案」について、五十嵐議員は「基本的に経済構造改革に資するもの」と評価する一方、年度税制改正を中心とする「租税特別措置法改正案」には、「総じて無責任な減税や朝令暮改、改革先送りを寄せ集めただけのもの」と批判した。

 その中で、まず、源泉分離選択課税制度をさらに2年間延長する「株式譲渡益課税」について、五十嵐議員は「主要国に類を見ない不公平税制」「朝令暮改の税制改正は株価対策にならない」と厳しく批判。安定的な税制の確立が必要だとして、「納税者番号制度、株式譲渡益等を他の所得と合算する総合課税制度」を柱とする民主党の考え方を提示し、宮沢財務相の所見を尋ねた。財務相は「おっしゃるとおりだと思うが、納税者番号制には国民の合意には至っていない」と述べた。

 また、控除期間10年間・控除限度額500万円の「住宅ローン減税制度」については、「景気対策の効果はなく、モラルハザードを生む」「過去のローン返済に苦しんでいる人々や民間賃貸住宅居住者との負担の公平という観点から問題」として、今年6月の居住分で現行制度は終了し、景気中立型のローン減税制度に戻すべきと提案した。

 さらに、政府の「NPO支援税制」についても、「ほとんどのNPO法人が認定を受けることのできない案」「政府与党はNPO活動とは無償のボランティア活動であり、財政的に自立する必要もないと認識しているように思える」と批判。「多様な市民公益を実現する自立した組織」との認識で民主党が対案を準備していることを表明しながら、宮沢財務相に認定NPO法人の要件を見直すべきと迫った。しかし財務相は「優遇を受けるにはそれなりの公益が必要だ」などと述べ、否定的な見解を示した。

 最後に五十嵐議員は、消費税の今後の見直しについて、公平な制度にするために「仕入れ税額控除の仕組みとして欧米諸国のようなインボイス制度の導入」「免税点の大幅引き下げ」「簡易課税の適用事業者の限定」「逆進性の解消策としての世帯人数数等に応じた税額還付方式の導入」を提言。宮沢財務相も「まだまだ改善の余地はある」と応じた。
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