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2001/02/20
「えひめ丸」衝突沈没事故・民主党調査団レポート(1)新事実が次々と明らかに
 ハワイ沖で起きた宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」と米原子力潜水艦「グリーンビル」との衝突、沈没事故の調査のため、16日(現地時間)からハワイを訪れていた民主党調査団(団長=伊藤英成外交安保ネクスト大臣、団員=首藤信彦衆議院議員、浅尾慶一郎参議院議員)の一行は、18日まで会談や調査を行い、19日にワシントンに移動した。
 20日、調査団からハワイ滞在中の詳細レポートが届いたので、一部を紹介する。

●緊急浮上訓練ではなく、デモンストレーション

 調査団は16日午後、米運輸安全委員会を訪問。ハーマーシュミット委員とシェーファー上級海難事故調査官と面会し、日本国民の公正・透明な調査への強い期待を伝えた後、さまざまな事実について確認を行い、新たな事実を引き出した。

 特に、これまで「緊急浮上訓練」とされていたものが「民間人へのデモンストレーション」が目的であった疑いの強いこと、従って緊急浮上というほどの浮上ではない可能性が強いこと、ソナーで探知できなかったことには大きな疑問があり、探知していた可能性があること、記録は残っていないというが、コンピューター上に残っている可能性があることなどが表明された。これらのことは、日本のマスコミでも報道された。

 さらに、キャンプスミスでは、トーマス・ケース米太平洋軍司令部副司令官、ケネス・フィッシャー米太平洋艦隊副司令官兼参謀長、ジョセフ・マクレラン米沿岸警備隊司令官と会談。まず、調査団から捜索と原因および責任の究明を強く要請するとともに、今後の米側の対応次第では、最近の沖縄での度重なる不祥事などもあり、日米関係に重大な影響を及ぼしかねないという懸念を厳しく表明した。

 また、今後の予定や法的措置、今後の再発防止への考え方などについて意見が交わされ、調査団側からは補償や被害者支援についてしっかりと行うよう申し入れた。

●ご家族・関係者から要望をきく

 調査団は17日午前に実習船乗員のご家族・関係者の方々と面会。党としてのお見舞いを申し上げるとともに、これまでの取り組みや米側とのやりとりを説明し、要望などを伺った。16日深夜に深海探査機スコーピオが沈没したえひめ丸の船体を確認したとのニュースが流れたことから、1日も早い引き揚げ、また引き揚げの確約がほしいとの声が相次いだ。

 また、日本政府に対しては、けっして米側との交渉で妥協しないこと、米側から早く事実を知らせることなどを、民主党からも強く要請してほしいとの要望を受けた。これに応え、調査団は、「みなさんの気持ちはしっかりと受け止め、これからワシントンで米側責任者と会う際には必ず伝える」と述べた。同日午後には、沿岸警備隊基地で「えひめ丸」の遺留品を確認した。

●地元の支援活動に感謝

 調査団一行は16日、「えひめ丸」のご家族・関係者の支援のために募金活動を行っているファースト・ハワイアン・バンクを訪問。ハワード・カー副会長(日米協会会長)と面会し、ハワイ市民の善意に感謝を申し上げるとともに、議員個人として「えひめ丸基金」に寄付を行った。

 また17日には、同募金の広報をボランティアで行っている地元KIKUテレビのジョアン・ニノミヤ社長を訪ねた。ニノミヤ社長は、日系三世として、肉親が行方不明になっている事故による精神的な衝撃とともに、日米の文化の違いから来る不安やストレスによるご家族の心の重い負担を心配され、「市民としてできる限り支援したい」と話していた。募金額はすでに3万ドルに達しており、ニノミヤ社長はご家族にお渡ししたいと述べたため、調査団はホノルルの日本総領事に対し、早い時期に実現するよう要請した。

●日本の世論しっかりと伝える

 調査団は、ハワイ滞在中に地元マスコミの取材に積極的に応じ、今回の事故に関する日本の世論、民主党の考え方などをアメリカ国民に広く伝えた。取材内容は地元のテレビや、ホノルル・アドバタイザー紙で放映、掲載された。
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