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2001/02/28
KSD疑惑で村上前参院議員を証人喚問〜簗瀬進、櫻井充議員が尋問
 ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団(KSD)をめぐる政界汚職事件で28日、参議院予算委員会で村上正邦前参議院議員に対する証人喚問が行われた。

 民主党・新緑風会からは簗瀬進、櫻井充両議員が約34分間尋問を行ったが、村上前議員は東京地検の事情聴取を受け、刑事訴追を受ける恐れがあることを理由に「証言拒否」や「記憶にない」を連発。両議員は数々の疑問点に鋭く切り込んだが、疑惑の核心部分の解明はほとんど進まなかった。

 簗瀬議員は、まず「隠さず真実を語ってほしい」と前置きし、「あなたと古関氏の行動は公益法人を隠れ蓑にし、中小企業者の善意と浄財を食いつぶした。まじめなKSD会員は涙を流して怒っており、謝罪すべきだ」と迫った。村上氏は「この問題が起こった一端の責任は私にある。しかし、私は犯罪者ではない」と逆に簗瀬議員をにらみつけた。

 簗瀬議員はさらに、「今年2回、資金管理団体正邦会の収支報告を訂正した。(収入とした)5171万円はKSDグループからの報酬ではないのか」と問いただしたが、村上氏は「訴追の恐れがあるので、控えさせていただきたい」と答えた。簗瀬議員が「あなたは身の潔白を司法の場で明らかにしたいと言った。訴追の恐れがあることと全く矛盾している」とたたみかけると、「ここは裁判所でもなければ、捜査機関でもない。証言を拒否する要件は十分備わっている」と気色ばんだ。

 続いて、「平成10年の参院選で獲得した党員のうちKSDにお世話になったのは何人か」と簗瀬議員が尋ねると、村上氏は「9万人だ」と答えたが、さらに「党費4000円なら3億6000万円だ。その党費の獲得は誰にしてもらったのか」と質すと「私は後援会、党員づくりには関与していない。当時は参議院幹事長として忙殺されており、選対事務所にまかせていた」などとはぐらかした。簗瀬議員は、豊明会中小企業政治連盟(豊政連)と村上正邦後援会の連名の署名用紙などを示し、「こういう文書がある以上、あなたは知らないとは言えないはずだ」と追及したが、村上氏は「何を根拠に私が知っていると言うのか。私はいちいち指示していない」と開き直るだけだった。

 簗瀬議員はさらに、「(逮捕された豊政連事務総長の)中村勝彦氏が中心となって、(自民党の)幽霊党員をたくさんつくった。石川五右衛門とか徳川家康などたいへん多彩な党員だ。これはあなたのための党員だったのでは」と迫ったが、村上氏は「党員は自民党の党員であり、村上正邦の私兵ではない」などと話をすり替えた。

 次に尋問に立った櫻井充議員は、ものつくり大学設立や補助金獲得への村上氏の関与を中心に問いただした。

 櫻井議員はまず、96年1月の参議院本会議での代表質問について「古関前理事長から何か働き掛けがあったのか」と質したのに対し、村上氏は「まさにそのことが受託収賄の疑惑をかけられている。また先日の地検の事情聴取で聴かれていることだ」として、証言を拒否した。ところが、櫻井議員が「96年1月時点で(ものつくり大学は)自民党の基本方針だったのか」と迫ると「記憶が定かではない」、「橋本首相(当時)の前向きな答弁を引き出すために、労働省、内閣官房、首相に働きかけたのか」と質すと、「そんなことはございません」と語気を強めて否定。櫻井議員は「与党の中できちんと決まっていないものが、なぜ政府から前向きな答弁が引き出せたのか」と疑問を呈した。

 また、「96年6月の国際技能工芸大学設立議連が自民党内に発足した。これにあたって古関氏から何か要請があったのか」と櫻井議員が尋ねると、またもや証言を拒否。これに対して、櫻井議員が「身の潔白を証明すると言ったが、証人ご自身は潔白だとお考えなのか」と迫ると、「私は証人喚問を受ける以上、堂々と公明正大にお答えするために出てきている。しかし今は事情が違う」と言い逃れた。

 櫻井議員はさらに「あなたは参議院の地位向上に努力された。こういう証人喚問が行われても、何も発言せず何もわからなければ、国会は何をやっているのかと思われるのではないか」と責め立て、「96年10月に5000万円をKSD側から受け取ったとされるのは事実か」と質問。しかし村上氏は「訴追の恐れがあるので答えられない」と繰り返すばかり。

 業を煮やした岡野委員長も「正当の理由のない証言拒否は禁固、罰金という規定があるが、それでもなおかつ拒否するのか」と警告したが、村上氏は「参議院の権威を高めることは人後に落ちない」と居丈高になったり、「それは委員長ね、今日の新聞を見てもわかるでしょ…」と嘆き節になったりしながら、証言を拒否し続けた。

 櫻井議員は次に、平成12年度予算でものつくり大学建設に関する政府の補助金が約20億円増額された件への村上氏の関与をただしたが、「具体的な話はしていない」「思い出せない」などと村上氏はあいまいな答弁を繰り返した。また、大学の設置認可を早くおろすよう中曽根弘文文相(当時)に働き掛けをしたことや、KSD会員獲得に金融機関の協力を実現させるために大蔵省関係者を古関氏に紹介したことについても、「記憶はない」と述べた。

 櫻井議員は、最後に「村上証人はKSDの政界工作のエージェントだったのではないか。小山前議員、村上証人以外の政治家がまだまだ関与していると考えられる」と、自民党全体への波及を示唆して尋問を終えた。
関連URL
  簗瀬議員の尋問(全文)
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=2123
  櫻井議員の尋問(全文)
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=2124
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