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2001/03/27
民主党のテレビCM放映を日本テレビが拒否〜不当な内容修正要求
民主党は党の政策をわかりやすくアピールするために、「公共事業編」と「銀行編」の2タイプの15秒テレビCMの放映を26日からテレビ朝日で始めた。

 この内容をめぐって、放映を予定していた日本テレビから「表現が適当でない」との理由で放映を拒否されたことから、民主党の鳩山由紀夫代表と参議院選対企画担当の安住淳衆議院議員が27日、党本部で記者会見した。

 「公共事業編」は当初、ある家庭で「こんな時代に毎年40兆円の公共事業ですって」と語る妻に、夫が「向こうには減らせないわけがあるんだよ」と説明。そこへ鳩山代表が登場し、「公共事業費を3割削減。しがらみのない民主党は無駄をなくします」と語りかける内容だった。ところがテレビ朝日、日本テレビ両局でCM内容を審査する考査部は「向こうには…」の表現に対し、「政府・与党の批判と受け取られかねない」と修正を求めたため、党では「向こうには」を「要するに」と手直し。これを受けてテレビ朝日では26日からの放送を始めた。

 ところが、日本テレビ側はさらに、(1)「減らせないわけがある」という表現は他党への誹謗ともとれる(2)「しがらみのない民主党」という表現は、他党にはしがらみがあると受け取れる表現ととれる(3)「3割削減」と断定的に言い切ることは、その政策が実現できなかった場合、放送局が視聴者に対し誤った印象を与えるCMを流したことになるので、「目指す」「実現へ」など目標であることを明記すべき−−と修正を求めた。

 もうひとつの「銀行編」で、銀行のATMの前で「自分の口座なのに手数料はおかしいわ」と話す女性に、男性が「欧米では引き出すのはタダが普通だよ」と答え、そこに鳩山代表が「これは日本の非常識。民主党は日本の金融サービスを世界の常識に近づけます」と語る内容。当初は「欧米ではタダが普通だよ」とのせりふだったが、放送局側からの「わかりにくい」との指摘を受け入れ、「引き出すのは」を付け加えた。

 会見で鳩山代表は「誹謗や中傷の意図は全くない。公共の福祉をはみ出すつもりもない。党の基本的な政策の柱を曲げろというのは不当な介入だ」と述べ、日本テレビでのCM放映を断念したことを明らかにした。

 交渉に当たった安住議員は「過去の政党CMを調べたが、社民党の『憲法9条は変えさせない』、公明党の『結果を出す政治』、自民党の旧新進党への『政策も政治もバラバラ』との批判CMはすべてOKだった。なぜ私たちのCMが問題なのか納得できない。社会の一般常識で使われる言葉でも政治家や政党が使うのはいけないというのは、民主主義に重大な影響を与える」と強調し、放送基準が恣意的に運用されているのではとの疑義を示した。

 テレビ朝日のCMは4月28日までの放送。民主党ではこの後も参議院選挙へ向けて政策CMを他の局でも順次放送していく計画だ。
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