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2001/03/28
薬害エイズ訴訟・無罪判決で談話〜金田誠一厚生労働ネクスト大臣
民主党は28日、薬害エイズ訴訟で元帝京大学副学長の安部英被告に対し、東京地裁が無罪判決を言い渡したことについて、談話を発表した。


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2001年3月28日

薬害エイズ事件・安部英被告への無罪判決について(談話)

民主党厚生労働NC大臣
金田 誠一

 本日、東京地方裁判所は、薬害エイズ訴訟で業務上過失致死罪に問われ、禁固3年を求刑されていた元帝京大学副学長の安部英被告に対し「無罪判決」を言い渡した。本判決は、多くの感染被害者やご遺族の心情を逆なでするものであると同時に、その事実誤認及び法律解釈において、常識的に理解しがたい内容を含んでおり、とうてい納得できない。

 今回の裁判においては、(1)安部被告が非加熱血液製剤の危険性を予見できたかどうか、(2)非加熱製剤に代わる代替品の有効性、(3)血友病の権威であった安部被告の責任、などが争点とされた。

 判決は、まず、「非加熱製剤によって高い治療効果をあげることと、エイズの予防に万全を期すこととは、容易に両立し難い関係にあった」と認定しているが、これまで明らかになっている事実に鑑み、どうしてこのような評価がなされるのか、疑問である。また、「予見可能性はあったが、その程度は低い」と程度の問題にすり替えているが、生命という重大な法益に対する危険について、これを程度の問題で処理するというのは、全く理解できないものである。さらに判決は「通常の血友病専門医」を基準に、結果回避義務を論じているが、被告人の知り得た知識やその立場を鑑みることなく、「通常の血友病専門医」を基準に責任を軽減することは、被害者はもとより、一般国民からも理解されないものである。

 何よりも、非加熱製剤投与とクリオ製剤(代替製剤)による治療等の「比較衡量」において、自己注射療法等の「長所」を根拠に「回避義務違反があったと評価することはできない」としているが、これは、一方で「程度の問題はあるにしろ」生命の危険に対する予見可能性を認めていながら、その危険よりも自己注射等の便利さを優先させるもので、信じがたい結論である。患者が死に至る可能性を認めながら、自己注射療法等の「長所」を優先する者があるとしたら、それは医師の名に値しないばかりか、人間の名にも値しないことは言うまでもなく、こうした判決を書いた裁判官の常識も疑わざるを得ない。

 多くの被害者と国民が求めていることは、二度と同じ過ちを繰り返さないための徹底した真相究明であり、責任者の厳正な処罰である。そのために、検察当局においては、直ちに控訴することは当然である。民主党は、被害にあわれた感染者、ご家族およびご遺族のみなさまに改めて心からお見舞を申し上げるとともに、このような不幸な薬害を二度と繰り返すことがないよう、今後とも真相の究明に全力をあげていく決意である。                                                                             
                                      以上
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