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2001/12/17
川辺川ダム反対運動の代表団が民主党に申し入れ




熊本県川辺川ダムの建設に反対する100団体の代表が17日、国会を訪れ、民主党に対して申し入れを行った。

 申し入れに訪れたのは、農民、漁民、水害体験者などの団体からの10名の代表団。民主党側は、鳩山由紀夫代表、菅直人幹事長が応対した。

 同ダムをめぐっては、その建設が日本一の水質を誇る川辺川流域の生態系に深刻な影響を与えることが懸念されているとともに、治水・利水の効果にも疑問があり、県民の反対が高まっている。にもかかわらず、国土交通省は11日、35年前の計画をあくまで着工するため、漁業権などの強制収用申請を決定。ダム建設をめぐる攻防は剣が峰を迎えている。

 冒頭、代表団側が、強制収用申請取り下げ、専門家・市民による代替案検討の2点を政府に提案することを求めた申入書を民主党側に手渡した。続いて、各代表が発言。「球磨川漁協が2度に渡って漁業補償案を否決して反対したのに、強制収用を申請するなんて、法治国家として理不尽すぎる」「水害体験者たちも、ダムによっては治水はできないと考えている。国はそもそもダムの必要性について説明義務を果たしていない」「民主党が主張している緑のダム構想を進めてほしい」など、怒りを込めた訴えがなされた。

 これを受けて、鳩山代表が発言した。代表はまず、「自然を守り、人間を守るという観点から、いたたまれぬ思いで東京に出てこられた皆さんのお気持ちは、痛いほど分かります」と述べ、代表団の心情を思いやった。続いて、国交省の対応について「まったく理解できない」と断罪。11日には、小泉首相あてに収用断念を求める申し入れを行ったことを紹介した。そして、ダムで治水するという理屈はまやかしであり、利水にも必要ない。いつまで自然破壊を続けるのか、と強く批判した。

 また、「小泉首相が無駄な公共事業を減らすというのなら、こういうものを真っ先に削るべきだ」とし、川辺川ダム問題への対応は小泉改革の試金石でもある、との考えを表明。民主党として、収用断念・計画中止を求める全党的取り組みを進める意思を明らかにした。

 現地の反対運動との連携の要となってきた菅幹事長は、「国交、農水両省の狙いは、何千億という金をばらまくことができるという1点だけだ」と批判。形のない漁業権に対する収用権執行の問題について法律専門家の集まりを作って検討していくほか、より直接的な行動も計画する考えを明らかにし、最後に代表団に「皆さんも頑張ってください」と呼びかけた。
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