ニュース
ニュース
2001/05/24
浅野宮城県知事、北川三重県知事ら参加=地方分権公聴会で分権社会の展望を議論
民主党ネクストキャビネットが主催する「地方分権公聴会〜地域から日本を変えよう〜」が24日、東京で、開催された。

 公述人として、浅野史郎・宮城県知事、石弘光・一橋大学学長、伊藤寛・福島県三春町長、北川正恭・三重県知事の4氏が招かれ、党の地方分権政策をめぐって様々な角度から議論がたたかわされた。 公聴会は、地方分権推進ワーキングチーム事務局次長の松原仁衆院議員の司会で始まった。

 冒頭、鳩山由紀夫代表が挨拶に立ち、「小泉内閣のもとで『改革』という言 葉だけが氾濫しているが、国をどこへ導くかのビジョンが明確でない。地方分権こそ、改革の大きな柱として取り組むべき課題だ」と述べて、活発な議論を呼びかけた。

 続いて、総務ネクスト大臣の玄葉光一郎衆院議員が民主党の地方分権政策(案)を 提起した。地方分権政策は、「地方財政の構造改革について」(税源移譲、補助金・ 交付税改革案)、「百花繚乱の地方(まち)を創る」(地域振興政策案)、「市町村合併に対する考え方」(案)、「コミュニティ政策」(案)の4つの柱からなるもの。

 地方自治体の自立したコミュニティとしての発展を促す観点から、国・地方の関係や住民自治のあり方など幅広い問題にわたって、分かりやすいビジョンを示した。

 公述人からの意見陳述で、浅野知事は、2300項目もの補助金を削っていくだけでなく、課税自治権の確立をも視野に入れるべきだと指摘。

 石学長は、国と地方が歳出をカットしながら独自財源をつくって共に汗をかくという考え方の中で、補助金そのものの廃止をも展望していく必要がある、とした。

 また伊藤町長は、国と県と基礎自治体たる市町村の3者を区別した上で、「権限と財源と人間の委譲」を進めるという主張を展開。北川知事は、分権社会へと社会のあり方自体を変えていくには、まず人々の意識や感覚が変わっていかないとできない、その切り口は情報公開だ、と述べた。

 その後、公聴人に鳩山代表、玄葉議員、中川正春衆院議員、浅尾慶一郎参院議員が 加わり、荒井聰衆院議員の司会でパネルディスカッションが行われた。税財政問題では、国の財政状況が悪いから税源の委譲はできないという政府の議論に対して、課税自治権の付与による自主財源確立の方向を明確にすべきことが論議された。また、地方分権の「ソフトの部分」をめぐっては、「地方分権が住民にとって幸せの道だということを実例で示す必要がある」(浅野知事)「行政のプロセス全部がクリアになっている自治体でなければ、住民は自分から担おうとはしない」(北川知事)などの意見が出された。
記事を印刷する