ニュース
ニュース
2001/05/31
さらにふみこんだ改革案打ち出す〜小泉改革案への方針決める
民主党は31日のネクストキャビネット閣議で、小泉首相が就任以来所信表明演説や国会答弁で表明した政策課題について16項目にわたって党の見解を整理、まとめた。

 国債発行の抑制や、公共事業改革、道路公団の民営化検討など、小泉首相の打ち出す改革案には、元々民主党が主張したものが多く盛り込まれている。民主党では、これまでに発表した参議院選挙政策よりさらに踏み込んだ具体的な対案を示し、政府との違いを明確にするとともに、首相に実現性を迫っていく狙いがある。

 岡田政調会長は「どうすれば国会で今回決めた政策を効果的に打ち出せるか早急に詰めたい」として、即座に今後の国会論戦で民主党の考えを鮮明に打ち出す方針だ。

 党内ではすでに議員立法化の作業が進んでいる政策も数多く控えており、今後の国会日程の中で、できるだけ具体策を突きつけて、本当の改革勢力がどちらかを強くアピールしていく。

 29日には、ネクストキャビネットの議論に先立って、全議員を対象とした政策懇談会を党本部で開き、幅広く意見を交換した。

 この日の議論では、特に道路特定財源を見直して使途を限定しない一般財源化を打ち出すことについて議論が集中。
 「必要のない道路はもう造るべきではない。しかし納税者・自動車ユーザーの立場からすれば、受益者負担として高い税を負担している。道路に使わないのなら約束違反になり、むしろ暫定税率(暫定的に本則の倍の税率を賦課したもの)を下げるという議論をすべきではないか」という意見や、「これだけの厳しい財政状況のなかで、やはり特定財源を一般財源に移していくということに意義を認めるべきだ」という意見、あるいは、「この道路特定財源の名の下で、政官業の癒着構造というものができあがっている。それを壊すために、一般財源化をすることが重要だ」など、さまざまな角度からの意見が出された。

 この点については、ネクストキャビネットの議論では「一般財源化の間に、税の使い道を抜本的に見直すのだから、関係者の理解は得られる」という結論になった。
 
今回まとめた16本の方針は次の通り。

●財政構造改革/国債発行30兆円制限法案
方針
@ 国債発行30兆円制限法案の成立を目指す
A 増税なき財政構造改革に取り組む
B 政権獲得5年後のプライマリーバランスに向けて内容の具体化を急ぐ
C 平成14年度予算の削減内容の議論を詰める

●地方分権
方 針
@ 補助金等の一括交付金化、地方交付税抜本改革、税源移譲の実現を目指す
A 見直しの具体的内容を速やかに明らかにして、国会で議論することを求める

●機密費
方 針
@ 使途の制限、支出手続、国会のチェック、一定期間後の公表を内容とする「機密費の使用に係る文書の作成、公表等に関する法律案」を提出する
A 「上納」を含む過去の実態の解明と結果の公表を求める
B 河野前外務大臣、福田(前)官房長官、の責任を含めて政府責任を追及する

●公共事業改革
方 針
@ 公共事業基本法案、公共事業総量削減法案、公共事業一括交付金法案、緑のダム法案、談合防止法案を提出する
A 小泉内閣が公共事業改革のトータルな議論を棚上げにし、道路特定財源問題に矮小化している実態を追及する

●道路特定財源
方 針
@ すべての特定財源、複雑な自動車関連税制のあり方を全面的に見直し、環境税の導入、二重課税の見直しなど抜本改革を2年後に実現する
A 2年間の時限措置として特定財源を一般財源化し、既得権化した政・官・業の癒着構造を改革する。

●天下り禁止  
方 針
@ 天下り禁止法案を提出する

●不良債権処理
方 針
@ 再検査を実施し、厳格な資産査定と引き当てを行わせる
A 日本版ペコラ委員会設置法案の成立によって株主・経営責任を明確化する
B 佐々波委員会報告と政府答弁の矛盾と責任を追及
C 不良債権処理ルールの明確化を求める

●政治とカネ   
方 針
@ 国会において、1)企業団体献金を受けられる政党支部の制限、2)インターネットによる政治資金報告書の届出・公開、3)報告書の保存期間を3年から5年に延長――を内容とする「政治資金規正法改正案」を提出する
A 政府から補助金・出資金あるいは仕事などを受けている法人(公益法人等)による事実上の政治連盟・政治団体の活動を禁止の法制化を追求する
(☆ 斡旋利得処罰法に「私設秘書」を加える法案は4野党で提出済み)

●雇用政策
方 針
@ 現下の雇用不安、不良債権処理に伴う失業問題に対応した民主党の具体策をさらに深める
A ワークシェアリング、人材・能力開発等を含めた雇用創出策を直ちに取りまとめる

●郵政事業改革
方 針
民間参入=
@ 信書参入の範囲、ユニバーサルサービスのあり方などについて具体策を検討する
A 公社に対する課税のあり方、保証料徴収の是非などを検討する
郵政事業のあり方=
@ 中央省庁等改革基本法33条6項「民営化等の見直しは行わないものとする」の条文削除を政府に迫る
A 公社化後のあり方について党内議論をすすめる

●個人情報保護法
方 針
@ 政府案の廃案をめざす

●子育て・両立支援
方 針
@「来年中に待機50000人解消・学童15000増」は当然だが、これだけでは不十分であり、無認可保育届出、育児・介護休業制度の充実、看護休暇整備などを図る

●医療改革
方 針
@ カルテ等情報の開示や苦情申立権など「患者の権利法」提案
A 自民党と医師会の癒着構造の追及、抜本改革に取り組む

●集団的自衛権 
方 針
@ 憲法解釈の変更により認めるべきではない。(国会決議も当然反対)
A 憲法改正の是非・必要性についての議論を憲法調査会等ですすめる

●靖国神社公式参拝
方 針
@ 「私的参拝」「公式参拝」における政教分離についての政府見解の明確化を求める
A 近隣諸国の理解についての政府の考え方を質す

●女性の皇位継承
方 針
@ 基本的には女性にも皇位継承を認めるべき
A 但し、国の基本にかかわる問題であり、政府として検討機関を設け丁寧に検討すべき。広範かつ十分な国民的議論も必要。
記事を印刷する