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2006/05/10
教育基本問題調査会、法案要綱項目案(座長試案)めぐり議論
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民主党教育基本問題調査会は10日夕、党本部で第4回教育基本法に関する検討会を開き、前日の検討会で示された「現行法の一部改正ではなく、新しい教育基本法の制定を目指す」などとする対案の策定方針に基づき、対案の骨格となる「民主党法案要綱項目案(座長試案)」を提示。試案に基づき43人の出席議員間で議論を重ねた。
検討会の冒頭、座長の西岡武夫参議院議員(元文部大臣)は党教育基本問題調査会事務局長代理の笠浩史衆議院議員の司会のもとで挨拶に立ち、配布した座長試案に基づき検討していきたいとする考えを表明。「これを中心として率直なご意見をいただきたい」と語った。示された「民主党法案要綱項目案(座長試案)」は「前文」以下、〔1〕教育の目的、〔2〕適切かつ最善な教育機会・環境の確保・整備〔3〕学習権〔4〕学校教育〔5〕教員〔6〕普通教育・義務教育〔7〕高等教育〔8〕幼児期の教育〔9〕建学の自由等〔10〕特別支援教育〔11〕家庭教育〔12〕地域教育〔13〕社会教育〔14〕職業教育〔15〕政治教育〔16〕宗教・生命に関する教育〔17〕情報教育等〔18〕教育行政等〔19〕教育振興基本計画〔20〕教育財政の20項目。
20項目を列挙した座長試案の説明に立った党教育基本問題調査会事務局長の鈴木寛参議院議員は「昨日の議論を受けて柱としてどういうものがあるか、昨年来の作業部会の報告書やこの間の議論を踏まえて項目を提示した」と述べ、憲法に順ずるものとの観点で現行の教育基本法にある前文を引き続き提示していく考えをまず表明した。
「格差問題の解決が非常に重要な教育課題」との視点で〔2〕の「適切かつ最善な教育機会・環境の確保・整備」を提示。〔3〕の「学習権」について鈴木事務局長は、昨日の議論でも大きなコンセンサス得たわが党案の特徴だと説明し、上から教育を押し付けようとする与党案に対し、学習権を明示したことを明らかにした。また「教育は学校のみならず地域・社会全般で行うもの」との認識を鈴木事務局長は示したうえで、〔4〕に「学校教育」を掲げ、その重要な担い手である「教員」を〔5〕としたとした。
鈴木事務局長は〔9〕の「建学の自由」は「学習権」の展開に繋がる重要な民主党案の特徴だとしたうえで、「自ら建学をし、教育していこうとする私学に対する助成、私学に通う学生への支援も検討して行く」との考えを示した。また、すべての子どもに適切な、きめ細かい教育を提供するとの観点で〔10〕の「特別支援教育」を掲げたとした。
また、〔14〕の「職業教育」をめぐっては「あくまで教育現場の教育改革のための基本法を示すというのがわれわれのスタンスなので、ニート・フリーターは日本の社会基盤を揺るがす大問題だということで『職業教育』については柱を立てて取り組むべき」と語った。
あわせて〔17〕の「情報教育等」も特徴的なもののひとつで、インターネットやコンピュータゲーム等の普及がもたらす子どもの影響から教育を捉えるとの視点を重視している。同時に教育を計画的・戦略的に教育を展開するには財源確保が不可欠との観点で〔20〕に「教育財政」を掲げたのも特徴。
検討会後に西岡座長は記者会見し、活発な議論が行われたことを明らかにするとともに、同日行われた与野党国対委員長会談で、教育基本法改正案を審議する衆院特別委員会を11日に設置することで合意したことに言及。「決まった以上、論評は差し控えるべきだが、あえていえば」と前置きしたうえで、「こういう問題は常任委員会でやるのがことの本質からいえば(妥当)、腰をすえて取り組むべきかだ」と述べ、憲法に準じる重要法案であるからには、十分な審議時間をとり、国民的な議論を起して行くべきもだと改めて指摘した。
試案をめぐっては、11日午前に第5回検討会を開き、さらなる議論を重ねることになることも西岡座長は表明。最終取りまとめは来週に持ち越される可能性もあるとした。
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