ニュース
ニュース
2002/06/05
【衆院事態特】仙台公聴会で政府への不信が噴出


 衆議院武力攻撃事態特別委員会は5日、審議中の有事関連法案に関する初めての地方公聴会を仙台市と鳥取市で開催した。仙台公聴会では、民主党から伊藤英成ネクスト外務・安全保障相、首藤信彦議員が出席し、8名の意見陳述者と意見を交換した。

 仙台公聴会に招かれた陳述者は、宮城県議会議員の村井嘉浩氏、木材会社社長の守屋長光氏、東北学院大学教授の遠藤恵子氏、日本郷友会宮城支部長の佐久間博信氏、会社役員の横田匡人氏、東北大学名誉教授の小田中聡樹氏、宮城県護憲平和センター理事の菅原傳氏、宮城大学教授の山本真千子氏の8名。意見陳述では、政府法案に対する賛否は分かれたが、国民への説明の不足や国民保護の規定の欠如に懸念を表明する意見が多く出された。

 民主党が推薦した遠藤氏は、(1)国民の権利をどう保障するかを抜きに「手続き論」だけが先に立っている、(2)地域住民にとって基本的権利を侵害する事態は戦争だけではない、(3)「武力攻撃のおそれ」と「予測しうる事態」の客観性をいかに担保するかが不明、(4)有事対処より日常的予防方策の検討が重要、(5)「国民の協力」の内容が不明確、などの点を挙げ、政府法案を批判した。

 陳述者への質疑では、伊藤議員が福田官房長官の非核三原則見直し発言について感想を求めたのに対し、菅原氏は「こういうことがあるから信用できない。国民の基本的人権をどう保障するのかの法律がないうちに法案を通すのは本末転倒」と語った。

 首藤議員は、ジェンダーの視点を有事法制にどのように盛り込むかについて質問。遠藤氏は、政府法案にはジェンダーの視点が「まったく入っていない」と指摘した上で、性被害からの保護や自衛隊の女性隊員の正当な処遇などをしっかり明記すべきことを主張した。
記事を印刷する