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2002/06/07
【衆院事態特】佐世保公聴会で国民保護法制の欠落に批判集中


 7日、佐世保市内で衆議院武力攻撃事態特別委員会の地方公聴会が開かれた。民主党からは、玄葉光一郎、末松義規両議員が出席し、各界から招かれた意見陳述者から、政府法案の問題点など様々な意見を聴取した。

 意見陳述に続く質疑において玄葉議員は、まず「緊急事態における法整備は必要であると認識している」と基本的な立場を表明した。その上で「しかし問題が2つある。1つ目は政府案の中身、特に武力事態法は国家を防衛する国民の法律であるはずのものだが、国民を保護するという部分がないこと。もう1つは、国民を保護する法整備が出てこないこと。これがないと国民のコンセンサスも得られないのであり、本来武力事態法と同時に考えるべきものである。国民と一緒に議論をしながら決着を図るといった取り組み方の問題、これが非常に大事ではないかと考える」と述べ、政府法案の問題点を鋭く指摘。その上で佐世保市長の光武顯氏と長崎友愛病院長の茅野丈二氏の両陳述人に意見を求めた。

 光武氏は「取り組み方の問題に関しては、地方自治体の長であれば玄葉議員と同じ意見を持っていると思う。本法案において国民を保護するということをないがしろにしてはいけない。しっかり議論したうえで、国民のコンセンサスを得られる法案をつくることが大事である」と述べた。
茅野氏は「現状の法案に対しては、国民が具体的に保護される方策があるか否かは非常に不明瞭であるため、再度しっかりと議論をした上で法整備をするべきである」と述べた。

 続いて質疑を行った末松議員は、始めに「本法案は国民の立場になって考えた法律ではないということが大きな問題である。もし有事が起こった場合、現状の法案だと不安要素の方が大きい。さらに、現場で地方自治体の意見が反映されなかった場合は最善の対応がとれるのか」と本法案の問題点を指摘した。また「政府は、とりあえず本法案を成立させて中身は改正というかたちでやっていけばいいと考えているのではないか」と指摘。この点について、それぞれ光武、茅野氏両人に意見を求めた。

 光武氏は「繰り返すことになるが有事が起きた場合、国民が守られる法整備は絶対必要である。同時に有事が起きた際、現場レベルでの対応は今以上に必要であると認識している」と述べた。続いて茅野氏は「有事が起こった場合、医療の立場から見ても具体的にどのように対処するのかをあらかじめ決めておかなければいけない。本法案は国民の基本的人権を制限する重要な法案であるにもかかわらず、国民を守る具体的な中身が提示されていない。このままでは制定してはいけない」と述べた。
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