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2002/06/10
【衆院事態特】伊藤(英)議員、官房長官らの外交感覚欠如を指弾


 民主党のネクストキャビネットで外務・安全保障相を務める伊藤英成議員は、10日の衆議院武力攻撃事態特別委員会で同僚の川端達夫、仙谷由人議員に続いて質問に立ち、官房長官らの非核政策見直し発言問題を日本の外交戦略の観点から厳しく批判した。

 伊藤議員はまず、「非核三原則は今までは憲法に近かったけれども、これからはどうなるのか。憲法改正を言う時代だから、非核三原則だって、国際緊張が高まれば国民が持つべきではないか、となるかもしれない」などと述べた5月31日の記者懇談における福田官房長官の発言について、「状況が変わったら核を保有しようと思っているんじゃないか」と真意を質した。

 福田長官は、「私の体のどこを切っても、すべて平和主義だ」などと否定したが、伊藤議員は「日本はどうなろうとも核を持つべきではない、とは言わなかったのか」とさらに追及。福田長官は「若い記者に、もっとていねいに(政府の立場を)説明すればよかった」などと問題をすり替えた。

 また伊藤議員は、安倍官房副長官が早稲田大学での講義で「核兵器の使用は憲法上問題ない」と語ったとされる問題も含め、米国の主要紙「ニューヨークタイムズ」が1面で取り上げるなど国際的にも波紋を呼び起こしていることを指摘し、「インドとパキスタンの対立、サッカーの日韓ワールドカップ開催など外交上の微妙な時期にこうした発言をする外交感覚のなさ、緊張感のなさはどういうことか」と厳しく批判した。しかし、安倍副長官は「ニューヨークタイムズはまったくの間違い」「政策論として語ったのではない」などと居直り、福田長官も「(記者に)聞かれたから答えただけ」などと危機感のなさをさらけ出した。

 伊藤議員は、こうした問題の根底に、外交戦略の有効な展開のためには軍事力が必要だという前時代的発想があるのではないか、と指摘。最後に、官房長官、副長官の罷免を要求して質問を締めくくった。
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