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2002/06/12
【衆院厚労委】山井議員、高齢者医療制度改革の展望など質す
 民主党の山井和則議員は12日の衆議院厚生労働委員会において、健康保険法改正案をめぐる質疑に立ち、(1)政府管掌健康保険の実態、(2)高齢者医療制度、(3)手術に関する施設基準の導入、(4)救急医療、救急救命士の業務拡大などについて質した。

 山井議員はまず、「国民は納得していない。抜本改革も見えないことに怒っている」とし、患者医療費の負担増が景気回復を遅らせ、自殺者増加も誘引しかねないと指摘。また、「自己負担と保険料アップは国民の損、診療報酬の引下げは医療機関の損だ。政府だけが損をしていない」とし、92年の附則によって13%に引き下げられた政管健保の公費負担についても16.4%に戻すべきではないかと主張した。

 続いて山井議員は、高齢者医療制度をめぐって、健保法改正案の中では高齢者医療の対象年齢を70歳以上から年に1歳ずつ上げて75歳以上までに引上げるとしているのに対し、附則では新しい高齢者医療制度の基本方針を今年度中に決定し、2年以内に新しい高齢者医療制度を実施するとしている点を指摘し、それらの整合性を質した。

 坂口厚労相は「5年間かけて75歳まで引上げていくという方針は継続する。この線にそって次の改革は行われていく」などとした。これに山井議員は納得せず、「こうした整合性のなさが、高齢者医療制度の姿が見えない大きな理由だ」と指弾した。

 また、山井議員は「病院で働く方々が口をそろえて撤廃を求めているのが手術に関する施設基準の導入である」と問題提起した。これは年間手術回数が一定に達しないと診療報酬を30%減額するというもので、山井議員は「事実上、手術をしない方がいい、しても儲からないよ、という政策誘導だ」と批判。地域医療の格差を広げ、平等な医療を受ける権利を犯すものになりかねない実態を指摘した。

 坂口厚労相は「特定の病院が集中して同じ医療行為を行うことで質を上げ、機能分化を図っていくという意味で方向性は間違っていない」としたが、7月1日付けで取りまとめられる病院の現状調査の結果を見た上で、改善が必要か否か判断するとの姿勢を示した。

 山井議員はさらに、救急医療、救急救命士の業務拡大への前向きな取組み、特別介護老人ホームの質の向上へのインセンティブを与えるような介護報酬のあり方の再考などを求め、「健保法の改正は人の命にかかわる問題。慎重に時間をかけて審議してほしい」と要請し、質問を締めくくった。
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