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2001/11/12
<補正予算>構造改革進める観点から追及〜岡田克也政調会長
構造改革進める観点から追及〜岡田政調会長

 衆議院予算委員会で12日から小泉首相以下閣僚が出席しての平成13年度補正予算をめぐる質疑がはじまった。民主党・無所属クラブからは、まず岡田克也政調会長が先陣を切った。

 冒頭、岡田議員は、外交・安保問題をめぐって3つの質問を行った。まず、COP7で運用ルールの合意がなされた地球温暖化阻止の京都議定書について、今国会に批准案を提出するかを質した。小泉首相は、2002年の議定書発効に向けて努力するという立場は変わらない、と述べるにとどまった。

 また、包括的核実験禁止条約(CTBT)を崩壊させないよう米国を説得すべきだという要請に対して首相は、米国に日本の非核政策への理解を求めると述べるにとどまった。さらに岡田議員は、テロ対策特措法にもとづく自衛隊派遣の国会承認について、今国会中に派遣した場合は会期末までに承認を受けるよう努力すべきだ、と要請した。しかし首相は、「期間中に基本方針を提案するかは分からない」「国会の承認を得られないような計画は考えていない」などとはぐらかした。

 次に岡田議員は、補正予算をめぐる質問に入った。まず、政府の補正予算案の内容について、国債発行30兆円枠を守り、従来型の公共投資による景気浮揚策をとらなかった点で「わかりやすい」と一定の評価を与えた上で、この内容で経済の現況に対応できると考えているかを質した。首相は、「私が総理だからすぐに景気が回復するわけではない」とやや弱気な面をのぞかせ、低成長を覚悟しながら改革を進め、持続的回復につなげていくという展望に立った予算であると説明した。

 また、二次補正でさらに国債を増額すれば国民にウソをつくことになるが、と質したことに対して首相は、「経済状況に大きな変化があればどうなるか…」と曖昧な答弁。岡田議員は、「(枠を守るか、崩すか)どっちに真意があるのか」と追及し、枠を崩さなくても、今年度予算の組み替えなどによってできる景気対策がたくさんある、と指摘した。

 そして次に、補正予算案の基軸となっている雇用対策の内容へと質問を進めた。まず、今回の対策と同様の「緊急地域雇用特別交付金」がこれまでに新規雇用を生んできたか、としてその総括を求めた。また、補正予算案の雇用対策では、雇用保険の切れた人、その適用がない人への対応が十分でない、と指摘。坂口厚労相は、3500億円の「緊急地域雇用特別交付金」が十分な効果を生んでいないことは認めながらも、今回の補正案では5500億円というかなり大きな額を計上しており、この枠内で効果的な運用をめざしたいという考えを示した。

 構造改革の具体策をめぐっては、高速道路整備問題について追及。まず、毎年料金収入の2倍のコストがかかる状況に陥っている本四架橋の失敗の原因を質した。首相 は、費用対効果の見通しに甘さがあった、とだけ述べた。続けて岡田議員は、現在全国の高速道の半数の路線で管理費や利息が払えない状況になっていることを指摘し、公団民営化の前に道路整備計画を一旦凍結して採算のメドが立たないものは中止することを求めた。首相は、「計画の継続はありえない」とし、税金の無駄づかいをなくす観点から今月末までに見直し案をまとめる、とした。

 さらに岡田議員は、医療保険制度改革についても言及。従来の改革が医療提供側=日本医師会の利害だけに沿ったものになっていると指摘し、具体的に薬価制度改革、老人薬剤費の別途負担、カルテ開示法制化などがことごとく白紙還元されたことを例に挙げて、見解を質した。首相は、医師会の主張が国民から支持を得られるものであるか吟味する必要があると述べ、坂口大臣は、岡田議員が挙げた個々の改革の内容について今月末にも結論を出す意向を示した。さらに岡田議員は、医師会とその政治団体(日本医師連盟)の資金が事実上一体化している問題も指摘し、是正を求めた。

 また、医療の効率化をめぐっては、診療報酬明細書(レセプト)審査を社会保険診療報酬支払基金が独占している問題を取り上げ、その早急な自由化とレセプトのネットワーク化の推進を要請した。坂口大臣は、自由化について、本年度中に実施案を固める意向を明らかにした。
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