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2003/01/23
【衆院予算委】上田議員、小泉行財政改革の虚実を衝く
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衆議院予算委員会で23日、民主党の3番手として平成14年度補正予算案に対する質問に立った上田清司議員は、年金の株式運用、特殊法人改革の現状、国家公務員の異動保障制度の各問題を具体的に追及し、小泉内閣が国民に税負担増を押しつける他方で放漫な財政運営を放置している実態を浮き彫りにした。
上田議員はまず、年金資金運用基金(平成13年4月より年金福祉事業団が改組)による年金の株式運用をめぐって質問。平成13年度に6600億円、14年度半期ですでに2兆円もの運用損失を出していることを指摘し、「このような巨額の損失を出した原因は何か」と質した。所管の坂口厚生労働相は「株式が低下したから。経済動向が影響している」などと答えたが、上田議員は「そもそも、国民からの預かりものを株で運用するのは危険ではないか」と批判。「安全かつ効率的な運用」を定めた厚生年金保険法の規定も引きながら、株式運用はやめるべきだと迫った。これに対しては塩川財務相も「デフレ時代にリスクの大きい運用を行うのはどうか。高度成長時代のしきたりに沿っている。根本的に考えるべきだ」と述べた。
上田議員はさらに、この年金資金運用基金が厚労省の大きな天下り先になっているために潰すことができずにきたことを暴き出し、「ぶっ潰すべきだ」と迫った。小泉首相は「特殊法人改革の一環として真剣に考える」と答えた。
次に上田議員は、特殊法人改革の実態について追及。政府が「廃止か民営化」を打ち出した77の特殊法人のうち、検討中のものが30、独立行政法人に横滑りさせるものが25など、ほとんど成果が上がっていないことを指摘し、見解を質した。小泉首相は「本格的にやるためには時間がかかる。1、2年でできっこない」などと声を荒げたが、上田議員はさらに独立行政法人への移行の内実に切り込み、多数の官僚OBが役員に天下ることによって人員数や役員報酬の総額が旧組織よりも増加している実態を暴露。「増税などで2兆円もの国民負担増をやろうとしているが、これでは何の意味もない」と厳しく指弾するとともに、株式運用で巨額の損失を生んでいる年金資金運用基金はこの3月にも廃止すべきだ、と再度迫った。坂口厚労相は、今年中に廃止を含めて検討し、来年に制度を改変する、と確認した。
国家公務員の異動保障の問題については、僻地への転勤に伴う激変緩和措置としての調整手当が悪用されている実例を挙げながら、地域間の移動に対して手当を支給するという現行制度自体の問題を指摘。各省大臣からも「仕組みに問題がある」との答弁を引き出した上で、「制度は必要」と繰り返す人事院の中島総裁を追及し、さらなる実態調査を確約させた。同時に上田議員は、異動保障制度の廃止法案(給与法改正案)を準備していることも明らかにし、「ぜひ超党派で成立させたい」と呼びかけて質問を終えた。
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