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2001/11/16
<狂牛病集中審議>安全宣言が裏目に出た〜鮫島宗明議員が追及
16日の厚生労働、農林水産・経済産業各委員会の連合審査会で、民主党の二番手として質問に立った鮫島議員は、狂牛病に対する認識、安全宣言の問題、廃用牛の問題などについて質した。

 まず、坂口厚労相の認識について、「狂牛病でなく、どういう名称が適切と考えるか」と質問。牛海綿状脳症という名称を使いたいとする厚労相に対し、「そういうことを言っているからダメなんだ」と切って捨て、「牛海綿状脳症というのは家畜の病名であり、厚生労働大臣としては人間の病名である新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を使うべきだ」と提示。一方、「武部農水相は牛海綿状脳症を使うべきだ」とし、所轄に基づく認識・使い分けをした上での監督・指導の必要性を指摘した。

 次に、鮫島議員は、労働組合等を通じて得た独自のデータに基づき、坂口・武部両大臣が10月18日に安全宣言を出して以来、小売りでの消費が落ちている現状を指摘し、「安全宣言が裏目に出た」と分析した。雇用にも影響を及ぼし、特に焼肉店などではパート雇用者の解雇が行われている実態も明らかにした。

 鮫島議員は、「安全宣言後に店頭に並んだ肉はすべて検査済みなのかとの消費者の問いに対し、答えに窮する現状があった」と指摘。その原因として、卸段階では政府の指導のもと隔離保管し、その後に検査が行われる手順がふまれたが、スーパー・食肉業者など末端のところでは何ら手が打たれていない。その結果、検査を経た牛肉と、検査前にスーパーなどで保存されていた牛肉とが並んで売られる結果になってしまった−−と指摘した。

 さらに、鮫島議員は、全頭検査体制がとられた屠畜場に持ち込まれる牛で、年間約18万頭を超える死亡牛の存在が見逃されていると指摘。答弁に立った遠藤農水副大臣は、「全頭検査する体制を整える」としたが、現時点では何ら手を打っていないことが明らかになった。

 鮫島議員は、狂牛病の専門家である東大の小野寺教授のデータを引用し、「フランスで24ヶ月齢以上の牛について、屠畜場で検査したところは狂牛病が出る割合は3万頭に1頭。一方、死亡牛あるいは廃用牛の場合、1000〜1300頭に1頭の割合になる」とし、「屠畜場の検査に比べると、30倍ぐらいの高い頻度で感染牛が発見される」と指摘。感染源・感染ルートの究明のためにも、肉骨粉処理場に持ち込まれる18万頭近い死亡牛の徹底検査こそが重要だと提起した。

 さらに、鮫島議員が「消費者が検査前の肉と検査後の肉を見分けられない状態のまま出された安全宣言はまちがっていたのではないか」と迫ったのに対し、武部農水相は何と「安全宣言という形ではやっていない」と開き直り。「全頭検査体制が整い、屠畜場から出される牛肉は今後、安全なものしかないと事実を発表しただけ」だと突っぱねた。

 鮫島議員はさらに、肉骨粉の焼却処理が滞っている現状について、「豚肉や鶏肉と識別できるしくみづくりを含め、焼却処理体制の確立も急務だ」と指摘した。
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