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2001/11/22
PKO協力法改正案質疑はじまる〜細野議員が代表質問
政府が提出した国連平和維持活動(PKO)協力法改正案をめぐる質疑が22日、衆院本会議で始まり、民主党の細野豪志衆議院議員が代表質問を行った。

 細野議員は質問の冒頭、9月11日の米国同時多発テロ以降、「世界の多くの警察官・消防士・軍人・NGO関係者が、平和を守るために、献身的な働きを続けている」として、「彼らが誇りをもって働くことができる環境を、政治家は整える必要がある」と問題提起した。

 細野議員はそうした一連の視点に基づき、PKOを論じる際、憲法との整合性は極めて重要としながらも、「同時に活動に参加するPKO要員の“円滑な任務の遂行”と“安全”に最大限の配慮をする必要がある」と主張。「米国の同時多発テロは21世紀の国際社会の平和と安全を守る上で認識の大きな変化を強いるもの」との見方を細野議員は示し、国連でもPKO見直し案(ブラヒミ・レポート)が提示されている中、「民主党はPKOを人的貢献のひとつの柱に位置づけるべきだと考えている」として、政府の基本認識を質した。

 続いて細野議員は、臨時国会終了間際に、本改正案が提出された理由について質問。「この時期に唐突に出てきたのは、アフガニスタンでの活動が前提か」とし、今回の改正案が成立しても参加5原則が基本的に維持される限り、アフガニスタンでのPKO活動はあり得ないと指摘した上で、見解を求めた。

 福田官房長官は「アフガニスタンの情勢は国連PKOが設立されることになるかを含め、流動的な状況だ」との見方を示し、日本がいかなる協力を行いうるかについては現地の情勢を把握した上で関係国・関係機関と協議した上で、検討していくとした。田中外相も同様に答えた。

 次に、PKO参加の5原則について質問。まず、武器の使用基準について、先般のテロ対策特別措置法に倣って、“その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者”を防護するために武器使用が可能となった点について、「PKO要員の安全確保に最も重要である武器使用の要件を、趣旨の異なる法律の文言を流用するという小手先の修正にとどめた感が否めない」と批判。管理の下に入った者とは具体的にどのような状況の誰を指すか、他国のPKO要員のために武器使用が可能となるのか、PKF本体業務に参加する際、今回の武器使用基準見直しで充分だと判断するか、などの点を質した。

 中谷防衛庁長官は「自衛官等がPKO業務を行うに際し、同一の場所で活動することがある自衛隊員以外のもののうち、不測の攻撃を受けて自衛官と共通の危険にさらされたときに、自衛官等の指示に従うことが期待されるものを防衛対象とする」とした。また、他国のPKO要員については、「職務を行うに伴い、自己の管理のもとに入ったか否かによる」とし、一般論としては部隊行動している他国のPKO部隊はその対象とならないとした。一方、武器を所持した他国のPKO部隊の職員であっても、自衛官等と共通の危険にさらされた場合は、自衛官の管理のもとに入った者に当たりうるとした。

 さらに、細野議員はPKO参加における第1原則の「紛争当事者間の停戦の合意」について質問。PKO協力法第3条では“武力紛争の停止及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意”と明記されているが、来年3月に東ティモールに派遣予定がある点について、現在の紛争当事者とは具体的に誰か、紛争当事者間での合意であるとの判断は、具体的に何に基づいてなされるのか、紛争当事者が不明確な場合、第1原則についてどう適用するのか、官房長官に見解を質した。

 福田官房長官は「現在の東ティモールの具体的な状況を総合的に判断すれば、停戦合意は有効に遵守されているものと判断できる」とし、判断基準は具体的状況を総合的にみていくとした。

 細野議員は最後に、「これまで以上にPKOの専門性・特殊性が要求されていることを考えたとき、日本も国際平和協力業務を行うための別途の組織創設を検討する時期にきている」と問題提起。「法律の個々の条文に即して何ができるかという“制約の議論”からの発想ではなく、何をなすべきかの原点に立ち返って、国際協力のあり方を議論していくべきだ」と提案し、代表質問を締めくくった。
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