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2003/01/28
【参院予算委】山下議員、補正・景気への首相の政治姿勢質す


 参議院予算委員会で28日、02年度補正予算について小泉首相ら全閣僚出席での基本的質疑が行われた。最初に質問に立った民主党・新緑風会の山下八洲夫議員は、補正予算における雇用対策などのセーフティーネット面での効果、消費税増税問題への認識、毎年の税収の過大見積もりの原因、円安誘導政策の是非などについて小泉首相、塩川財務相、速水日銀総裁らと議論をたたかわせた。

 このなかで、補正予算がGDPで年換算0.7%の引き上げ、9万人程度の雇用創出効果を持つと説明する竹中金融経済財政担当相の説明に対して、山下議員が「仮に9万人拡大したとして、350万人の失業者は若干でも減るのか。完全失業率が5.3%から5.6%に上昇するとの年間経済見通しを示しているが、この数字は下がるのか」と質すと、「不良債権処理加速に伴う雇用情勢の悪化の部分にはかなりの効果がある」(竹中金融経済財政担当相)、「(9万人は)補正予算の中の話で、15年度予算は別」(坂口厚労相)など、閣僚席からの答弁は歯切れの悪さが目立った。

 山下議員はまた、年金国庫負担の引き上げ問題に関連して経済財政諮問会議内や経済界のなかに消費税率引き上げの議論があることについて、あらためて小泉首相の見解を質した。小泉首相は「私の首相在任中は消費税率を引き上げない」と言明した。山下議員は、来年度の税制改正のなかに盛り込まれている消費税の「総額明示方式」にも言及し、「最近は外税方式が一般的だ。総額明示方式は、消費税の負担額を見えにくするもので、税率アップの布石なのではないか」とさらに質したが、塩川財務相は、「消費者保護の観点と、預かった消費税が確実に国庫に入るようにするため」と目的を説明し、増税の布石との懸念を否定した。

 山下議員はさらに、来年度の税制改正で盛り込まれた発泡酒やたばこの増税について、「1日も早いデフレからの脱却を国民が求めているなかで、庶民に痛みをもたらすもの。減税も実施すると言うが、そういう庶民にはどういう減税があるのか」と質した。塩川財務相は、「(発泡酒やたばこは)生活必需品ではない。一般向けにも、いろいろ減税をする」としてあれこれと項目を列挙したが、山下議員に「ほとんどが企業向けのもの。一般国民には何かあるのか」と重ねて問い質されると、「企業活動を活性化すれば個人の所得も潤うという経済の原則に従って考えた減税だ」と、増税は一般庶民向け、減税は企業向け中心との山下議員の見方を認めた。

 山下議員は、最後に、高速道路利用料金問題、「政治とカネ」の問題にも駆け足で言及した。ハイウェイカードが廃止されることについて利用者から苦情が出ていることから、今後はETC利用者について5万円カード並の割引を全国で適用してはどうかとの山下議員の提案に、扇国土交通相は、ETCで料金収受コストの削減や環境対策を図れることから、前向きに検討する意向を表明した。「政治とカネ」問題では、すでに野党が共同で法案を提出している公共事業受注企業からの寄付制限を考えるべきではないかとの問いに、小泉首相も「与党とも相談し、一歩でも前進するような措置を講じたい」と表明した。
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